A Dream for My Daughter/父と娘が見た夢【監督・マウリシオ オサキ】
…In Loss, Father Dreams.
突然娘を失った、父の夢は…
監督・脚本/マウリシオ オサキ
マウリシオ・オサキ 日系ブラジル人三世の映画監督。ニューヨーク大学ティッシュ芸術学部(NYU Tisch)で映画製作のMFAを取得。大学院在学中に監督した"My Father's Truck"は第63回ベルリン国際映画祭を含む100以上の映画祭で上映され、米アカデミー賞の受賞候補にも選ばれた。
複数の監督作がベルリン国際映画、ベネチア国際映画祭他に招待されている。
制作: | LUPI FILMS |
父親(ピーク): | Mony Ros |
娘(レア): | Sopheanith Thong |
警官(ソン): | Socheata Svay |
エグゼクティブプロデューサー: | 野間省伸 |
プロデューサー(講談社): | 神保純子 |
上映時間: | 24分 |
produced by
シネマクリエイターズラボあらすじ
ヨーロッパへの密輸コンテナの中で複数の東南アジア人が亡くなった悲痛な事故から最初の着想を得た本作『父と娘が見た夢』は、娘を海外で亡くした悲しみに揺れるカニ漁師の父ピークと、その娘レアを描いている。突然の悲報に動揺する中、娘の遺体を取り戻すためには働かなければならない…という困難に直面する父親は、マングローブの林の中で娘の魂に呼ばれ、対面し、悲しみと向き合い、苦しみの中から父親として彼なりの結末を見出していく……。
講談社シネマクリエイターズラボ・第1期優秀賞受賞作
マウリシオ オサキ監督より
世界を唸らせた巨匠 黒澤明監督はアジアと世界を股にかけた作品と活躍から、映画監督として私に多大な影響を与えてきました。南米の日本人家庭で育ち、現在は東南アジアに在住する私は、常に東洋と西洋、双方の影響を受けてきました。
数年前、ベトナム北部で長編処女作の制作中だったある日、とても悲劇的なニュースを目にし、大変なショックを受けました。その事件は、若い東南アジアの人たちがイギリスに入国するために荷物用のコンテナに詰め込まれて移動し、窒息死したという内容でした。あまりにも悲痛でいたたまれないこの悲劇は、地球の反対側に住む私の家族の移民の歴史を思い出させました。私と同じように地球の反対側に住んでいる家族がもしこんな知らせを聞いたらどう受け止めるのだろうか、彼らの苦しみ、罪悪感、とてつもない喪失感を想像せずにはいられませんでした。
遠い異国にポツンと残された、白いコンテナのイメージが私の心にしばらく残って離れませんでした。そしてそのイメージは、黒澤明の映画のワンシーンを思い起こさせました。私はこの映画を通して、悲嘆に暮れる父親に、夢の中だけでも我が子と最後のお別れをする機会を与えてあげたいと願ったのです。
数か月にわたるリサーチと執筆の後、この企画は日本の出版社である講談社の「シネマクリエイターズラボ」の受賞作に選ばれました。彼らの尽力的な支援により、私はかつて不可能だとも考えていたこの物語にようやく命を吹き込むことができました。
私は犠牲者とその遺族の運命を変えることも、苦しみを和らげてあげることもできない。ただ、この映画を通して、密航の犠牲となってしまった若い魂に敬意を払い、別れを告げ、心から冥福を祈りたいと思うのです。
公開情報・映画祭情報(2024年9月13日 現在)
・ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2024 (日本) 【 入選 】