それはDAYS NEOから始まった #28 『108P!~1年後に絶対108Pする話~』zensori先生×担当編集者インタビュー
マッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」から連載に繋がった作者と作品を紹介する「それはDAYS NEOから始まった」、第28回!
今回は2024年1月にヤングマガジン編集部 渡邊(以下、渡邊)とマッチングし、2025年10月8日(水)よりヤンマガwebにて『108P!~1年後に絶対108Pする話~』の連載を開始、2026年1月20日(火)発売の単行本 1巻が即重版、3月18日(水)に単行本2巻が発売となったzensoriさん(以下、zensori)にインタビュー。
「次の連載こそヒット作にしたい」というコメントと共に投稿したzensoriさんの熱意に呼応するように、作品投稿当日にマッチングした担当編集。「108P」というぶっ飛んだ設定からは想像できない、繊細なつくり込みの過程も必見のインタビュー。ぜひご一読ください!

「まさか童貞だった俺が、1年後107人を愛させてもらえるなんてーー」性愛に疎い大学生・汐留守。ある日、街に倒れる謎の老人を助けたことから「1年以内にカケラを持った107人を絶頂させなければ世界滅亡」という責務を与えられる。困惑していると、超大人気アイドル・清瀬春香の頭上に「みられたい」の文字が!?彼女の欲望を解き放ち、絶頂させることは出来るのか!?
107人と愛し合う、前代未聞のエロコメディ♡

2024年1月 DAYS NEOに『キャライメージ中イラスト』を投稿。
多数の編集部でマンガ連載を経験。
2025年10月8日 ヤンマガwebにて『108P!~1年後に絶対108Pする話~』の連載を開始。

歴代担当作品は『月曜日のたわわ』『テンカイチ』『人妻の唇は缶チューハイの味がして』など。
2024年1月 DAYS NEOにてzensoriさんとマッチング。
本インタビューは作品のネタバレを多く含みます。
ぜひ『108P!~1年後に絶対108Pする話~』第1話を読了後にご覧ください!
※リンク先(ヤンマガWeb)に遷移するとセンシティブ表現を含む作品およびポップアップが表示されます。
ご留意の上、リンク先をご確認ください。
作品から滲み出る「フェチ」がつないだマッチング
―DAYS NEOに投稿したきっかけを教えてください。
zensori:
5年ほど前にILLUST DAYSで開催されていたコンテストに参加するために登録したのが最初です。DAYS NEOに投稿したころは内容指定のお仕事が多かったので、新しい連載場所を探したくて投稿してみました。
マンガ家仲間から「連載獲得や担当編集がつくまで行き詰っていたタイミングでDAYS NEOを利用したところ、連載決定までこぎ着けられた」という話をよく聞いていたのも理由の一つですね。
渡邊:
zensoriさん、連載のご経験が多いですよね。
zensori:
講談社さんでも3巻出してもらいましたし、webマンガで週刊連載したり、グルメマンガを描いたり、色んな媒体でお仕事をさせてもらっていました。10年ほどマンガ家として活動しています。
―多数の連載経験から、実力の高さを感じます。次に、渡邊さんがzensoriさんの投稿作『キャライメージ中イラスト』に担当希望を出した理由を教えてください。
渡邊:
第一に「上手い」と思ったからです。「魅力的な女の子を描きたい」「次こそはヒットにしたい」という言葉から作品づくりへの強い意欲を感じました。
投稿作品に少年誌・青年誌志望のタグをつけてくれていましたし、僕は当時『人妻の唇は缶チューハイの味がして』を担当していて、ヤンマガでのエロに振った作品の担当経験もあったので、力になれるかもしれないと思ったことも理由ですね。ヤンマガならエロくて強い企画やれますよ!とお伝えしたかったんです。

こだわりが詰め込まれたイラスト2枚での投稿だった。
―イラスト2枚のみでの投稿、DAYS NEOでは珍しいですね。
渡邊:
そうですよね。しかもDAYS NEOのユーザー名は「zensori」さんじゃなくて、その名前で調べても何の作品も出てこないんですよ。「この人は一体誰なんだ…!?」と思っていました。
正直、投稿からは素性が知れないとは思っていたんですが(笑)。一度お話してみたくてお声がけしました。
zensori:
(笑)。ありがとうございます。
渡邊:
でも、たった2枚のイラストから顔の描き方や胸・陰影のつけ方などに癖(ヘキ)を感じたのが最大の理由です。実力があって、フェチを表現したい人なんだと思いました。
編集者として作品を担当する中で、僕は「フェチがある人は強い」と思っているんです。
―フェチがある人に強みを感じているのはなぜですか?
渡邊:
癖(ヘキ)とかフェチというのは、女性・男性の体に対してどれだけ自分の好みを出して描けるかに繋がります。この点は企画段階というより、作品を原稿に起こすときに大きく影響すると思っています。
「企画の強さ」は編集者がお手伝いできるところなのですが、編集者は筆を持つことはできません。原稿におけるキャラクターの描き方の部分は何もお手伝いできないんです。
フェチがあるというのは、自分が魅力的に思うデザインをキャラクターにぶつけられるということ。僕らがお手伝いできない部分の力を持っているというのは、大きな強みだと考えています。
zensori:
ありがとうございます。
よく渡邊さんにはお伝えしているのですが、本当に女体を描くのが楽しいんです。

女性らしいボディラインのキャラクターデザイン。
―『108P!』に出てくる女性は、zensoriさんの“描く楽しさ”が伝わってくるような可愛さがありますよね。「魅力的な女性を描く」連載を目指すために、ご自身の強みを詰め込んだイラスト2枚での投稿を考えたんですか?
zensori:
「可愛い女の子と女体を描きたい」という想いを伝えようとはしました(笑)。
これまでの連載経験から、連載の立ち上げは担当編集さんとの好みの一致やすり合わせが重要だという感覚があったんです。もし担当を希望してくれる編集者さんがいて、その方と話が合えば連載の立ち上げの相談ができると思っていたので、企画というよりも人ありきで考えていました。
商業連載で戦っていける作家であることを示すなら、「可愛い女の子と女体を描きたい!こんな風に描けます!」とアピールする必要があると思って。結果的にイラスト2枚という形になりました。
―zensoriさんの狙いと、渡邊さんのアンテナがバッチリ合ったんですね。
zensori:
本当にありがとうございます。
渡邊:
こちらこそ、癖(ヘキ)を全開にしてくださってありがとうございます。
結果的にイラスト2枚での投稿は大正解だったと思います。たらればですが、もしネームでの投稿だったら、僕はzensoriさんの魅力に気付けなかったかもしれません。ネーム状態の原稿では絵柄の魅力は伝わりにくいので。
「許される表現の幅が広い」青年誌に魅力を感じていた
―お二人は、zensoriさんの作品投稿当日にマッチングされていますよね。
渡邊:
zensoriさんが投稿されて本当にすぐのタイミングでメッセージを送りましたね。
zensori:
はい、かなり早いタイミングでいただいた記憶があります。
―渡邊さんからメッセージを受け取ったときの感想を教えていただけますか?
zensori:
シンプルに嬉しかったです。青年誌を志望していたので、ヤンマガの編集者さんからメッセージがきたこともありがたかったですね。
「企画を当てたい」という気持ちに呼応してくれたことと、感情論だけでなく売れるために必要な道筋をメッセージに書いてくれていたので、この方だったらいいタッグが組めそうと思って、担当希望を承諾しました。
—青年誌を志望していたのはどうしてですか?
zensori:
マンガを長いこと描いてきて、許容されるマンガ表現の幅広さは青年誌が一番なんじゃないかと思ったからです。
渡邊:
確かに、表現の許容範囲はかなり広いですね。ヤンマガは特に掲載作品のジャンルも多岐にわたっていますし。
zensori:
新しい作品を、色んな表現が許された場所で描いてみたいと思っていました。
―マッチング後、初めての打ち合わせでのお互いの印象はいかがでしたか?
渡邊:
すごく丁寧で、編集者にもリスペクトをもって話してくれる方だと感じました。直感的に、この方とだったら仕事がやりやすいと思ったことを覚えています。
zensori:
最初にヤングマガジン編集部に呼んでいただいたんですけど、日程を決めるまでのやり取りが本当に迅速で丁寧だったんです。長年マンガ家をやってきて編集者の方ともマンガ家の方とも数多く関わったのですが、レスポンスの速さが群を抜いていて「神!」と思いましたね。
実際にお会いしても礼儀正しくて丁寧な印象は変わりませんでした。どんどん自己開示してくださるタイプだったので、こちらも自己開示しやすかったです。青年誌での連載を目指すうえで、ここは非常にありがたかったです。
―表現が自由な分、自分の本質を開示できる状況というのが、青年誌は他媒体よりも必要になってくるんですね。
渡邊:
最初から最近見たAVとか性癖の話をしてましたよね。
zensori:
そうですね(笑)。
そういう変態的な話から、渡邊さんが大学時代に哲学を専攻されていたお話もしていただきました。私の学生時代からの親友も哲学と倫理学を専攻していて、そういった話を聞いていたので、その点でも話が合うなと思っていました。
渡邊:
打ち合わせは毎回、話題があっちに行ったりこっちに行ったりしますよね。よかったAVの話とか、人間とは何か、とか(笑)。
『108P!』を数字のインパクトだけではない、強い企画にするために
―『108P!』の連載決定までは、どのように作品づくりをしていたんですか?
渡邊:
初めての打ち合わせの後、企画を3つ出して検討していくことにしました。今と方向性はかなり違うんですけど、その中の1つが『108P!』の大元となる案です。
女の子が過って祠を壊してしまい、その祠のご神体が性を司る神様で、女の子の体に入ってしまう。そのせいで女の子がムラムラしてしまうのを、主人公の男の子に解決してもらうために体を重ねて…みたいな話でした。
zensori:
渡邊さんから「この話って、ムラムラの解消のために2人がセックスしたらそれで終わりですよね」という指摘があって、その通りだなと。
渡邊:
なのでジャストアイディアで2人とか3人とか複数にできないかな…と言った瞬間に、zensoriさんが「じゃあ108人で。」と言ってくれたんです。
この話をしたときは電話だったのですが、電話越しに爆笑しました。「意味わかんねー!」と思って(笑)。

かなりのインパクトがあるフレーズ。
zensori:
複数といっても2〜3人…5人だとしてもありふれていて、数多あるエロ系作品に埋もれてしまうと思ったんです。どうせなら数の暴力で殴るしかない、と思って「108人」と言いました。
108個ある煩悩というのは常日頃私が戦っているものだったので、スッと出てきた数字ですね(笑)。
渡邊:
超多数の女の子に好かれるラブコメ作品はあるんですが、キス以上のことをしない作品が多くて。僕はそれにすごくムカついていたんです。好きならそれ以上のこともするだろ!と(笑)。
ハーレムで好かれているのに性欲がない主人公って共感できないなと思っていたところに「108人とセックスする話はどうですか?」と言われたので、心の底からこれだ!!と思いました。
他の作品を圧倒する勢いでやりましょう、と言って、方向性が決まった感じですね。
―そこから「強い企画」にするための話し合いでは、具体的にどんな相談をしたんですか?
渡邊:
「強い企画にするためにどうするか」というよりは、ありきたりな要素を外していく話し合いをしました。
僕の中では、タイトルや内容を聞いただけで「なにこれ?」って思わせられる、いわゆるフックがあるものが強い企画と呼べる条件の一つだと思っています。
なので僕が『108P!』のアイディアをzensoriさんから聞いたときに抱いた「108人がムラムラするってどういうこと?」「意味わかんねー!」という感想こそが、フックになっている証拠だなと思ったんです。
—たしかに、一度聞いたら忘れられないタイトルですね。
渡邊:
あとは、この企画は“えっちな作品”にはなるでしょうけど、そこだけやっていてもしょうがないよねという部分は二人で話し合いました。
『神のみぞ知るセカイ』や『源君物語』などを例に挙げて、ハーレム作品でもヒロイン一人ひとりをしっかり掘り下げる・各キャラクターにきちんと人として向き合う物語のほうが、没入できるラブストーリーになっていくと思ったんです。
そこに重きを置くことによって、108人という数をただの数字ではなくて、人間として読者の方も受け取れる。ここがきっと強みになる、と考えていました。
―主人公 プラス 107人のヒロイン、合計108人の性格・ストーリー・デザインを考える必要がある企画、zensoriさんとってはものすごくタフなのでは…!?
zensori:
自分が読み手だとしたら、純粋に読みたいと思える企画だったので挑戦したいと思いました。
あとは渡邊さんが「エロをやるにしても、成人向け雑誌と青年誌での違いを意識してつくりましょう」と言ってくださって。エロもきちんと描きつつ感情の描写に重きを置くことを提案してくれて、個人的にはそこがすごくいいなと感じていました。
―なるほど。お二人の中で、成人向けと青年誌でのエロコメディの違いはどういう風に定義しているんですか?
zensori:
成人向けの原稿作業は、マンガ家の中でも「一番しんどいかも」という話が出るくらい過酷なんです。とにかく書き込みが細かくて。
一方で、青年誌は週刊や月刊なので、作画にパワーを割くシーンを自分である程度調整する余地があります。
ストーリーについても、青年誌ではセックスのシーンだけではなくて、キャラの人となりや悩みなどを描く“一歩踏み込んだお話”にすることで差異が出せると思っています。

「見たい」という欲望を持つアイドルマネージャーの葛藤が描かれるシーン。
―成人向けは読み切り作品が多い一方、青年誌は連載が基本なので購買層の違いもありそうですね。渡邊さんはいかがですか。
渡邊:
僕は成人向け作品はシチュエーションを、青年誌の作品はドラマを買っているんだと思っています。
前者は、誰かの性癖を理想化した状況・状態を描いたものを求めて買っている。自分がドキドキするシチュエーションを作品を通して楽しめるかが重要な部分です。なのでキャラクターの名前やビジュアルが多少変わってしまったとしても、そこはあまり問題じゃないんだと思います。
青年誌作品は、キャラクターの人間性に一層重きが置かれているというか…。作品の中で「この子はどんな人間なのか」ということを、成人向け作品よりも感じられないといけないんだと思います。逆にそれを感じられるなら、シチュエーションはいくら変わってもいいんじゃないですかね。
―かなりしっかり言語化されている印象なのですが、何か理由があるんでしょうか?
渡邊:
『人妻の唇は缶チューハイの味がして』の担当をさせてもらったことが大きいです。
この作品はオムニバス形式で、4~5話ごとに1人の人妻の悩みや人間性に主人公が触れるようなストーリーになっています。悩みの解決に主人公が力を尽くしたり、解決策そのものがセックスだったりするんですけど、そういった形で主人公がヒロインたちにメリットを与えていく。
これまで色んな人妻たちが登場してきましたが、キャラクターの感情・悩みを深堀りした回は読者の反応がいいんです。
だから「人妻とのセックス」というシチュエーションを求められているのではなく、キャラクターの背景、つまりドラマが求められているんだろうという感覚をそこで掴みました。
この話をzensoriさんにさせてもらって、『108P!』も人間ドラマを描いたほうが絶対に読者の方に届く作品になると思う、とお伝えしました。
キャラクターデザインは、一人の人間と向き合っていく作業
―話の方向性が固まってから、どんな流れで連載が決定したんですか?
zensori:
実は2024年1月末に編集部でお会いしてから、ゴールデンウィーク明けくらいにはヤンマガwebでの掲載権をいただいていたんです。
渡邊:
ヤンマガでは毎月ネーム会議があるのですが、先ほどお話した『108P!』の前身となる企画で、5月のネーム会議に提出して一発で通りました。
zensori:
「女の子が祠を壊して…」という話を元にしていたので、ご神体の欠片が主人公と様々な女の子に入っていくんですが、近づくとそれがバイブレーションして、ただただ男女が発情するという設定でした(笑)。
思い返すと、だいぶ設定が変わっていますね。
―編集部のGOサインが出た後で、今のストーリーに変更したということですよね?
渡邊:
本誌での連載を狙っていたので、zensoriさんとご相談してもう一度ブラッシュアップしよう!ということになりまして。
zensori:
そこから企画は考えていたのですが、引っ越しや色々なことが重なって日常に追われていたら、いつの間にか2024年が終わってしまいました。
ヤンマガではネーム会議に出た作品に、会議に出ていた編集さんそれぞれからの講評がつくのですが…当時はそれを読んで想像以上にショックを受けてしまったみたいで。結構考え込んでしまって、なかなか企画の練り直しが進みませんでした。
でも時間が経って講評を見返していたら、すべて愛のあるメッセージだと思えるようになっていました。むしろ、なんでショックを受けてしまっていたんだろう、と思うくらいひしひしとありがたみを感じました。
ヤンマガ編集部からOKをもらえたこの企画、どうせやるなら面白いものにしようと覚悟を決めて、2025年1月頭に渡邊さんにご連絡しました。
渡邊:
そこから改めて打ち合わせをさせてもらいました。
元の案では、主人公のキャラクターが立っていないところが気になって。こいつが107人とセックスをするためには、目的がないとダメですよねという話をしました。そうじゃないと読んでいて面白くないし、共感もできないし。
ただ「107人とセックスできるぜ!イェーイ!」みたいな主人公も、逆に乗り気じゃなくて嫌々やってるやつも嫌いだなーと思って(笑)。ここを決めるのには結構、紆余曲折ありましたよね。
zensori:
渡邊さんが「ところで、この主人公の性癖は何なんですか?」というすごくクリティカルな質問をくださったんです。確かに、この子が何に興奮するのかをしっかり考えないといけないと思いました。
そこから2~3週間悩んで、ようやく「人を悦ばせることが悦び」という性癖にたどり着きました。

ヒロインと向き合うことで、主人公は自分の性癖に気づく。
渡邊:
これから主人公の汐留くんは107人分の性癖を浴びることになるんですけど、全部に興奮できるやつじゃないといけない。たとえばSMが好きな人は、それ以外は好きじゃないことになってしまうんですよ。
だから「人を悦ばせること」が性癖って、すごくいいなと思いました。
zensori:
ありがとうございます。
―主人公の方向性が決まったあとは、他のキャラのデザインはしやすかったですか?
zensori:
はい。主人公・汐留くんのキャラクターが決まってから、他のキャラクターはスルスルと決まっていった印象です。
渡邊:
そうですね。主人公とヒロインたちを並行して考えていました。
主人公の性癖は「人を悦ばせること」→ 第1話でそれに気づく → それまでの人生で気づいていないということは、性欲が薄いはず…というようにどんどん逆算していく形で決めていきましたよね。
zensori:
はい。「この子って男友達と何のAV見て盛り上がるんですかね?」みたいな話をしましたよね。
渡邊:
しました(笑)。たぶん盛り上がってないよねって。
zensori:
だとすると、主人公の「性欲が薄い」という悩みは第1話で解決されることに意味がある、というような形で内容を決めました。
第1話のヒロインは清瀬春香ちゃんというアイドルなのですが、企画の段階では全然別のツンデレの女の子だったんです。どうせなら男性の夢を詰めこもうということで、今の内容に変更しています。
渡邊:
春香の悩みも、zensoriさんと一緒に逆算して考えていきました。
アイドルの女の子が主人公と出会うまで解決できていない性癖って何だろう、というところから始めて。人前に立つために自分の汚い部分は見せられないと考えている…ということは自慰行為を見せるなんてもってのほかで、性欲があるってこと自体を隠さなきゃいけなくなっていそうですよね。
アイドルだって性欲があってもいいはずなのに、隠さなきゃいけないのは可哀想だなという話から、見る・見られるという構成になっていきました。

「見られたい」欲望への罪悪感と自慰行為を目撃された衝撃で泣いてしまうヒロインに声をかける主人公。
―ドラマ性を重んじるストーリーの場合、「読者に好かれるヒロイン像」をつくる意識も必要になってくるかと思うのですが、やってみていかがですか?
zensori:
本当に楽しいです。心から楽しい日々を送らせていただいているので、少しでも長く連載が続けばいいなって思ってます。ひたすら感謝です。
―どういうところが楽しいですか?
zensori:
キャラクターを考えることは、一人の人間と向き合っていく作業だと感じています。ビジュアルをデザインして、人となりを固めてストーリーを作っていく作業が本当に楽しいんです。架空の友人・恋人と知り合っていく作業のような感じで。
なので、一人ひとりヒロインをデザインしていく作業にはすごくワクワクしながら取り組んでいます。
―すごく素敵なキャラクターのつくり方ですね。
渡邊:
そうですよね!zensoriさんはキャラのつくり込みが素晴らしいんですよ。作中で主人公にも見えていない部分までしっかり考えられています。
第15話に芸能界デビューを目指して奮闘する、月島えみりというダンスが得意なヒロインが出てきます。主人公がえみりの靴下に穴が空いていることを指摘するシーンがあるんですけど、彼女は「お金がないんじゃなくて、ダンスですり減っちゃうの」って恥ずかしがりながら弁解するんですよ。さり気ないけど人間性を感じるシーンがすごく自然に入ってくるんです。
打ち合わせの時に全くお話していないのに、ネームで出てきたときのほうがキャラクターが数段深掘りされていますね。zensoriさんがキャラクターの一人ひとりと向き合っている証拠だと思っています。

靴下の穴について説明するえみり。
一人ひとりの欲求・悩みに丁寧に向き合い、エールを送る作品
―最後に、お二人からそれぞれ『108P!~1年後に絶対108Pする話~』のおすすめポイントを語っていただけますか?
zensori:
大前提として、とにかく読者さんに楽しんでいただきたいと思って描いています。毎週3分…いえ、1分だけでも笑ってもらえたら本望です。
そして性癖マンガとしても、人間ドラマとしても読み続けられるマンガを目指しています。いろんな楽しみ方ができるように考えた結果、“数をこなして笑いを取る”と同時に、“人と向き合う”ことを主軸とした作品になりました。
一見すると過激で消費的に見える設定ですが、実際は一人ひとりの欲求・心の癖・生きづらさに丁寧に向き合う、誠実なエロコメディになっています。煩悩、生きとし生けるものの赦しの物語を志しているかもしれません。
連載は生ものなのでどこまで続けられるかはわかりませんが、副題の「絶対」は読者さんと作者の約束です。作者が死んだりしない限り、最後には絶対、108人が勢揃いした圧巻の108Pをお見せいたします!お楽しみに!
応援してくださる読者さんに誠実に向き合いたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!
渡邊:
誰だって隠した性癖があり、誰だって何かの拗れを持っています。親友・恋人に言えたとしても、それでさえ取り繕った、本当のコアではないかもしれません。
誰にも言えない悩みと欲望…それは最も解決しづらいものであり、そして最も人間らしい部分だと思います。もちろん人間の悩みは性欲には限りません。でも、結びついてしまった人はきっといるはずです。そして、本作はその人たちへのエールを目指した作品です。
ヒロイン一人ひとりの「この子は何が悩みなのか」「この性癖で何を望んでいるのか」を深堀りして主人公が解決する、という流れになっている理由はそこにあります。キャラの誰かが読者の方の心に、ほんの少しでも触れてくれたら嬉しいです。
ただ、“エロコメディ”なので笑って明るく堅苦しくなく「なんか良いな~」ぐらいで読んでほしいです!!ふとお手に取っていただけたら、これ以上の喜びはありません。
最後に、「1年後に108P」は絶対の絶対にやります。きっとギネスにも載るでしょう。お楽しみに!
―お二人とも、お忙しい中ありがとうございました!
zensori:
こちらこそありがとうございました!
渡邊:
ありがとうございました!
『108P!~1年後に絶対108Pする話~』は、ヤンマガwebにて好評連載中!
作品への応援コメントもお待ちしております!