マッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」から連載に繋がった作者と作品を紹介する「それはDAYS NEOから始まった」、第30回!
今回は2025年2月にチャンピオンクロス編集部 吉川(以下、吉川)とマッチングし、2025年12月17日(水)よりチャンピオンクロスにて『デカいうさぎに懐かれた!?』を開始、2026年5月20日(水)に単行本 第1巻が発売となる真顔逸華さん(以下、真顔)にインタビュー。
フェチの合致がもたらしたマッチング。その“フェチ”を徹底的に強めた作品づくりに伴走した担当編集・吉川氏のサポートとそれに応える真顔さんの真摯な制作活動を深掘り。「読者目線」の作品づくりのためのチャレンジなど、連載獲得に直結したアプローチは必見です!

新社会人、勤務開始前日…大神ハジメは緊張して眠れずにいた。遠く慣れない福岡の地でうまくやっていけるのか…不安に苛まれた末に夜の散歩に出かけたハジメは、妙に馴れ馴れしい”デッカい”酔っ払いの女の人に絡まれ、「二人で夜の街」に繰り出すことになり…!?
博多の地で繰り広げられるオトナ男女の”仲良し関係”を描いたドッキドキの物語、開幕!!

2025年2月 DAYS NEOに『くだらない週末もお前となら』を投稿。
2025年12月17日 チャンピオンクロスにて『デカいうさぎに懐かれた!?』の連載を開始。

チャンピオンクロスでの歴代担当作品は『瞳ちゃんは人見知り』『僕の生徒はオトナギャル』『魔王の娘、すごくチョロい。』など。
2025年2月 DAYS NEOにて真顔逸華さんとマッチング。
本インタビュ―は作品のネタバレを多く含みます。
ぜひ『デカいうさぎに懐かれた!?』を読了後にお読みください!
自分の作品に興味があって好んでくれる編集者に出会いたかった
―DAYS NEOに投稿したきっかけを教えてください。
真顔:
自分にいちばん合う編集者さんと出会いたかったからです!
マンガ賞は応募してから結果がわかるまでどうしても時間がかかるし、仮に賞を取れたとしてもどんな編集者さんが自分についてくれるかはわからないので、正直に言うと運要素が強いなと思っていて…。
なので、編集者さんからの逆指名を受けられるDAYS NEOは自分の目的に合っていたんです。持ち込みやマンガ賞の応募を続けて自分に合う編集者さんに担当してもらえるのを待つより、自分の作品に興味があって好んでくれる方に出会えるのが嬉しいなと思って投稿しました。
―まさにそんな出会いをお届けするためのサービスなので、とても嬉しいお言葉です!
真顔:
そこが最大の魅力だと思います。新人のマンガ家って、編集者さんに対して「自分の人生をこの人に預けても大丈夫か…!?」と、どうしても心配になってしまうと思うんですよ。最初から「この人と仕事がしたい!」と思った人と組めるのは安心ですよね。
あとは編集者の方ってどんな作品を担当されているかわからなかったりするので、編集者プロフィールで情報が開示されているのはかなり助かります。
―吉川さんはDAYS NEO利用中の編集者の中でもかなりプロフィールを詳しく記載されていますね。
真顔:
そうですよね(笑)。担当作品も全部書いてて、ラブコメに強い方なんだろうなあって思ってました。
吉川:
編集者が今までどんな作品を担当してきたか・どんな編集部遍歴かも含めて見れたほうが、マンガ家さんとしてはやりやすいのではないかと思うんです。自分がマンガ家だったら詳細にプロフィールを書いている編集者のほうが信頼できる気がしたので、そうしてます。
マンガ家さんは自分の作品をありのまま出してくださるのに、編集者が謎めいた存在でいるのはフェアじゃないなと思ったんですよね。
―信頼できるパートナーになるための自己開示、DAYS NEOの理念にはピッタリでありがたい限りです。吉川さんが真顔さんのDAYS NEO投稿作『くだらない週末もお前となら』に担当希望を出した理由を教えてください。
吉川:
まずは、僕のフェチと合致したところが大きいです。「あなたの好きなこの感じ、めちゃくちゃわかる~!!」という感じで、すごく感情を刺激されました。
―ちなみに「わかる~!!」といちばん感じたところはどこですか?
吉川:
女性キャラが筋肉質だったところですね。
真顔:
食い気味!(笑)
やっぱりデカ女って“非存在感”がいいですよね。リアルにはいないであろうレベルまでデカさをモリモリにできるところに、ロマンが詰まってると思ってます。
吉川:
最高ですね。

担当編集・吉川氏に刺さったキャラクターデザイン。
※編集者限定公開作品
―二人のフェチが合致した結果のマッチング成立なんですね。
真顔:
これができるのが、DAYS NEOです!(笑)
吉川:
(笑)。宣伝番長になれますね。
―ありがとうございます(笑)。真顔さんはDAYS NEOに4作品投稿してくださっていますよね。その中で吉川さんが『くだらない週末もお前となら』に担当希望を出したのは、やはりフェチに刺さったからですか?
吉川:
もちろんそれもありますが、真顔さんが描きたい関係性・展開がすごく伝わってきたところと、「日常の描き方」にこだわりを感じたからですね。
『くだらない週末もお前となら』ではつかず離れずの距離感の男女が描かれています。そういう「上手くいきそうでいかない、大人の不器用な恋愛」は、多くの人から共感を得られるだろうなと思ったんです。

“両片思い”を示唆するような空気感。
※編集者限定公開作品
吉川:
トレンドを考えて作品をチューニングするマンガ家さんもいらっしゃるんですが、『くだらない週末もお前となら』を読んだとき、真顔さんが自分の好みに忠実に、フェチを全開で描いているのを感じました。好きなものとこだわりの両方がいいサイズ感でまとまっていたので、この作品に担当希望を出させてもらいました。
もちろん投稿されていた4作品はすべて読ませてもらいましたし、そのうえでこの方はきっと自分の好きなものを曲げずに貫いてくれるだろうと感じました。そんな人がつくるキャラクターや作品を見たいと思ったし、一緒に作れたら楽しいだろうなと思ったのが担当希望を出した理由です。
―たしかに真顔さんの作品には、人物の背景まで感じさせるような生き生きとしたキャラクターがたくさん出てきますよね。
真顔:
ありがとうございます。『くだらない週末もお前となら』は、マンガ賞を狙うとか一切考えずに好きなものを好きなように描いた作品なので、嬉しいですね。人間の不器用な部分とかダサいところが好きで、そこの解像度を上げて作品に盛り込もうとしたことが伝わってよかったです。
いま触れていただきましたが、“生活感”がマジで好きなんですよ。例えば外ではバチバチにキメてるのに、家では下着姿とか高校の体育ジャージとか、そういうのを着てだらしなく過ごしてるのとかすごい好きです。
さっき「非存在感がいい」と言った“デカ女”が好きな理由とは矛盾するんですが、そういう非存在的なものに生活感を与えて、あたかも実際に存在するかのような空間をつくるのがめっちゃ好きなんです。
吉川:
いい意味でかっこつけてなくて、すごくいいですよね。
「この人になら、自分の作品や人生を任せたい」と思えた
―真顔さんは2人の編集者から担当希望を受け取っていましたよね。2人との事前面談(※)後にマッチングが成立した形ですが、吉川さんを選んだ決め手は何だったんですか?
(※)マッチングにお悩みのマンガ家さん向けに、ご希望いただければ担当希望を送っている編集者との事前面談を設定させていただくことがあります(DAYS NEO運営事務局より)
真顔:
自分の作品の意図とか方向性について、ものすごく理解が深いなと思ったからです。
ちょっと上から目線になっちゃうんですけど、編集者メッセージの内容から「僕の作品をちゃんと読めているな」と感じたんですよね(笑)。
この人になら自分の作品や人生を任せたいと思えたので、吉川さんの担当希望を承諾しました。
―どんな会話からそう感じられたんですか?
真顔:
なんだろう。吉川さんは僕とフェチが同じだったので、面談の始めからすごくテンション高く喋ってたんですよ(笑)。
吉川:
そうですね(笑)。この人はきっと私の好きなものを描いてくれるぞ!と思っていたので、「あなたの好きなもの、僕も好きです!」と終始テンション高めに色々話していた気がしますね。
―マッチング前の段階でかなり盛り上がっていたんですね。マンガ家と担当編集者という立場になってもそのテンション感は変わりませんでしたか?
真顔:
正直、僕は今までお付き合いした編集者さんの中で一番スムーズでしたよ。
こういうのを描いてくださいみたいな、作品の方向性を担当編集さんから強く指定されないのがすごくありがたかったです。「自分好みの作家に育てよう」みたいな方も多い中で、僕の好きなように突き進もうとしたときに、止めずに進ませてくれるので感謝しています。
吉川:
もちろんマンガ家さんによっては、こちら側から「こういう方向の作品をやりませんか」というのをお伝えするほうが向いている方もいらっしゃいます。自ずとアイディアが出てきにくかったり、好みに忠実すぎるとマニアックになってしまうパターンもあるので。
ただ真顔さんは本人の好きなものを追求したほうがいい作品を作れる人だというのが作品から滲み出てましたし、そこを無くしちゃったら真顔さんが描く意味がなくなってしまうと思ったんですよね。この点は個人としても編集部としても共通の見解でした。チャンピオンクロスが誌風として、マンガ家さんが持っている可能性やポテンシャルだったり、その人だからこそ出せる味というのを重視しているのも大きいかもしれません。
—編集部の意向と吉川さん自身のスタンスが合致していたんですね。
吉川:
はい。真顔さんは誰かのフェチに深く刺さる作品を描ける方だと、編集部も僕も感じていました。だったらそこを確実に狙っていく形で、好きなことやってもらいましょう!という気持ちでした。
真顔:
そうですね、基本はこちらのやりたいことを優先して企画を作らせてもらえました。最初は『くだらない週末もお前となら』をブラッシュアップして、最終的に結婚に持ち込む…みたいな話を作ろうとしていましたね。
吉川:
ただ、当時の作品は、編集長へ作品を見せた時の感触やフィードバックを踏まえて連載には至りませんでした。真顔さんの良さを出し切れていないんじゃないか、と。
―真顔さんは当時どんなお気持ちだったんでしょうか。
真顔:
「ある程度面白いものは描けたけどな~」と思ってました(笑)。
ただ、当時はすべての作品を女性主人公で物語を作っていたんですよ。男性向け作品を女性主人公でつくるのは難しそうだと思っていたのですが、切り口としての新しさでゴリ押せる気もして、そのままネームを起こしました。
でも、言葉を変えれば成長せずに切り込んでしまった形なので、編集部の判断としては妥当なんだろうな思いました。
吉川:
二人で打ち合わせを重ねてできあがった作品だったし、僕もすごく面白い作品だと思っていました。真顔さんの考える生活感であったりとか、キャラクターの関係値から物語が発展していく期待感とか、読者に共感や応援したくなる気持ちを与えられる作品だったと思います。
真顔:
でもそのときに、連載と読み切りが全く別物だということをちゃんと自覚しましたね。
―それはどういったところで感じたんでしょうか。
真顔:
1話ごとにヒキを作らなければいけないところが大きく違う点かなと思います。
読み切りは“終わる”ように物語を整えればいいので、連載で「展開の波をどうつくるか」というところが難しかったですね。連載は1話ずつのヒキと終わり方を考えながら、それをストーリー全体の盛り上がりや結末に自然に繋げる必要があります。ただそれが分かりやすすぎても面白くないし、塩梅が本当に難しいです。
―考えなければならないことが、圧倒的に多くなるんですね。
真顔:
そうですね。読み切りであればなにかアイディアを1つ思いつけばお話を描けるんですけど、連載はやっぱりそうはいかなくて。かなりの数のアイディアを用意しておいて、今回はこれ、次はこれ…と取捨選択をしながらやらなければいけないところも、大きな違いだと思います。
作品の中の1~2割で、自分が好きなことをやれたらそれでいい
―企画の練り直しとなった形ですが、『デカいうさぎに懐かれた!?』はどうやって生まれたんですか?
吉川:
真顔さんが描きたい「日常に非日常が紛れ込んでくる感じ」を最大限に活かすために、お話を考え直しました。
女性を主人公に据えるよりも、男性主人公の日常に“非日常”であるデカいヒロインがやってくるほうが、読者が同じ目線で「この子は何をしてくれるのかな」とワクワクできるんじゃないか?という結論に至りました。
ボーイミーツガールを好きな人たちって、主人公の男の子がヒロインの予想がつかない言動に振り回されたりするのが好きじゃないですか。

主人公の夜の散歩中に突然登場するヒロイン・うさぎ。
―確かにそうですね。真顔さんはその要素を物語にどう落とし込んでいったんでしょうか?
真顔:
まずは、男性主人公で、大学生の恋愛ものを考えました。
ただ、考えていく中で、学生同士の恋愛だと大人同士の恋愛よりも素直な物語になってしまうと思ったんです。それこそ大人同士だったら、告白したあとすぐ付き合ってゴールというわけにはいかない場合もあるじゃないですか。その先の展開をいくつも考えられるし、自分はそれを描きたいんだという気づきになりました。
だから「男性主人公かつ社会人のラブコメ」で、自分のオリジナリティの要素として「アラサーのデカい女のヒロインを入れる」。この2つを最初から決め打ちした状態でネームを作ろうと決めたんです。ここは事前に吉川さんとも相談して、社会人のキャラクターで作品をつくることは握り合っていました。
吉川:
真顔さんの描きたい「大人同士の恋愛」と、真顔さんのフェチを掛け算できる企画ができた瞬間でしたね。
真顔:
そうですね。あとはみなさんやられることだとは思うんですけど、ヒット作の研究のために色んな作品の1~3話分をひたすら分析しました。
出会いのパートでコメディを入れた後にシリアスな展開があって、またコメディがきて、そのあとサービスシーンがあって…みたいな展開の応酬を一覧にまとめて分析したり。マンガ制作の考え方を根本から変えるために、たくさんの作品に触れました。
独自にやったことかなと思うのは「創作活動をしていない人にヒアリングして、意見を取り入れること」です。
ネームを考えてるときって、視野がめちゃくちゃ狭くなるんですよ。ネットでウケてるものに影響を受けすぎてしまったり、クリエイター同士で話すことが多くなって「読者目線」に立てなくなっちゃうんです。それを解消したいと思ったので、周りの人に意見を聞きまくりました。友達・家族・会社の人とか、周りの人に自分がマンガを描いていることを打ち明けて、社会人生活の中でどういう女性がいたら嬉しいかをヒアリングして回りました(笑)。
吉川:
市場調査、ですね。
真顔:
そうなんです!ほかにも、単純にどういう人がタイプかを聞いたり(笑)。どんな設定や要素があるとマンガを読みたくなるか、逆に読みたくなくなるかとかを、あえて普段マンガをたくさん読まないような人たちにひたすらヒアリングしました。
―かなり時間と手間がかかりそうなアプローチだと思うのですが、真顔さんを突き動かした原動力は何だったんですか?
真顔:
単純に、自分の力だけでいいアイディアを思いつくのは無理だ!と思ったんですよね。
読者の目線に立たないと面白いものは描けないと思っているのですが、僕はもうマンガを「描く」側として読んでしまうので、読者側に立つことができなくなっているんですよ。だったら読者の立場でのみ作品に触れている人の意見を取り入れたほうが早いなと思って。
マンガ雑誌の購買意欲の高い人って30~50代の方だと思うんですけど、職場でそういう年代の方々にもヒアリングしたら、おじさんの理想を詰め込んだ女性を誕生させられるかなと思って(笑)。

会社ではしっかり者のヒロインが見せる弱さは、ヒアリングの賜物。
―ロマンが詰まったキャラクターになりそうですね!ここまで作品をよくするために行動される熱意、尊敬します。
吉川:
真顔さんの強みは、自分のマンガをよりよくするための作業を楽しみながらやっているところだと思います。マンガの研究や市場調査をして、それを自分の作品に還元する。一般的には苦しいといわれるような作業を、真摯な態度かつめちゃくちゃ楽しそうにやってらっしゃるんです。
自分の好きなものや信じているものだけを頼りに作品をつくってしまうと、それを否定されたときに自分の牙城が崩れるような感覚を持ってしまうことが多いと思うんです。そこで「自分だけじゃダメだ、周りの人を頼ろう」という発想の転換ができるのは、本当に大きな長所です。他人の意見を取り入れるのに全然ためらいがないのがすごい。
これはマンガ家さんに限らず、全社会人にとってもできそうでできないことだと思います。
真顔:
さすがに最初はためらいもありましたよ!でもラブコメの知識とか王道パターンを吉川さんが知ってくれてるし、自分でも勉強をしたので、読者のみなさんが読みたいものを想像しながら描けるようになりました。それで物語の8割が固まったとしても、残りの1~2割で自分の好きなことをやれたらそれでいいなって思えるようになったんですよ。
そう思えるようになってからは周りの意見がスッと入ってきて、すぐ作品に反映できるようになったんです。だからこそ『デカいうさぎに懐かれた!?』にたどり着けたんだと思います。
吉川:
言語化ができても実際に行動できる方はなかなかいないと思うので、本当に素晴らしいことだと思います。
真顔:
ありがとうございます。そういったアプローチで考えていった『デカいうさぎに懐かれた!?』はトントン拍子にいったんで、この考え方は間違ってなかったなと思いましたね!
一番望ましい形で連載に持っていけた
―ヒアリングで集まった意見をどうやってキャラクターに落とし込んだんですか?
真顔:
元々用意していたキャラクターのガワがあったので、性格を考えるときに参考にしました。ヒアリングの結果、包容力のある女性がいいという意見が多かったんです。既婚者の50代のおじさんたちがみんな「お姉さんに優しくされたい」って言ってて(笑)。
吉川:
めちゃくちゃリアルですね(笑)。
真顔:
「怒られたり詰められたりするのはいやだ」っていう意見もあったので、頼りがいがあって優しい、温厚で明るいお姉さんにしました。そしてフェチとして“アラサーのデカ女”という要素を加えて、さらに差別化のために筋肉を追加しました(笑)。
あとは、素のまま喋ると僕はバリバリの博多弁なんですけど、友人と話したりすると「博多弁って可愛い、めちゃくちゃいい」って言われることが多くて。じゃあ自分の喋っとる博多弁をそのまんま女性キャラクターに転用したら、可愛くなるやん!と思って、足しました。

“頼りがいのある優しいお姉さん”の一面が垣間見える。
吉川:
博多弁の要素については、物語の聖地をつくりたい、という狙いもありました。
それも日常の表現を高めてくれる要素だと思いますし、キャラクターIPとして方言女子という属性は強いので。福岡という土地を存分に作品に使おうという方向で、さらにヒロインの設定を活かすようにストーリーを考えていきましたよね。
真顔:
そうですね。主人公の大神くんは東京出身の新社会人で、配属で福岡転勤になった設定にしました。友達もいない土地での不安な日常生活に、突然デカい女という非日常が飛び込んできたら面白いなと。
吉川:
しかもめちゃくちゃ自分の懐に入ってくるっていう。そんな女性に、夜の散歩で出会って仲良くなるストーリーを嫌いな人っていないと思ったんですよね。ぴったりハマった主人公とヒロインになったなと思ったので、ぜひこれでいきましょう!ということで進めていきました。
真顔:
ヒロインのうさぎの設定をあらかじめつくり込んでいたので、最初のネームはある程度すんなり描けました。ほとんど直しなしで通った気がします。
吉川:
ネームを読んだときは「これが読みたかったんだ!」という感覚でした。すぐに編集長に連載の相談をしに行きましたね。
面白いのが、ネームを読んでもらったときにフィードバックとして「ヒロインのうさぎちゃん、もっと筋肉つけられない?」と言われたんですよ。今よりフェチに訴えていこう、ぶっ刺しにいこう!とさらに設定をモリモリにしていく方向に話が進んでいって、さすがチャンピオンクロス編集部だなと思いました(笑)。
真顔:
僕は最初から筋肉モリモリの状態で出したんですけど、吉川さんはちょっとだけ日和ってたんすよ(笑)。自分がいちばん筋肉女子好きなのに、「普通の女の子にしましょう」って筋肉削った状態で出して。
吉川:
そうなんですよ。僕、若干日和りまして(笑)。いくらデカ女ブームとはいえ、露骨すぎるかなあと思っちゃって。「僕は好きですよ、僕はね…」という感覚がどうしてもあったんです。
もっと広い読者層に刺さったほうがいいんじゃないかと、真顔さんに筋肉を削る修正をお願いしたんですけど。結局上からも「なに日和ってんの!」と言われ、自分のフェチに正直に生きなきゃいけないなと思いました。
―連載決定のご連絡をお二人からいただいてヒロインのビジュアルを見たときに、DAYS NEO投稿作のキャラよりもデッカくなってて驚きました(笑)。フェチがより強化されて連載が決定したのってすごいですよね。
吉川:
はい、一番望ましい形で連載にもっていけたなと思います。
編集者ってやっぱり整地しにかかってしまうところがあると思うんですよ。マンガ家さんと担当編集が同じものが大好きで、二人の好きなものを詰め込みすぎちゃうとみんなを置いてけぼりにしちゃうときがあるので…。担当編集として、ブレーキをかけてしまいました。でも編集部側が今回はもっと強気にいこう!と言って制限を取っ払ってくれたので、ありがたかったです。
みんなの「こんな展開あったらいいな」を乗せた、超王道ラブコメ
―実際に連載が始まってみて、いかがですか?
真顔:
忙しいですね!(笑)。
皆さんがよく言っている「常に何かに追われている感覚」に襲われてます。アシスタントさんを入れていないので、一個でも何かが遅れると後ろからすごく負債が追いかけてくる感じです。今も負債に追われているんですけど(笑)。
吉川:
(笑)。
真顔:
自分に厳しすぎて、自分ができる作業量を高く見積もってしまうときがあるので、身の丈に合った量を自分に与えなきゃなと思っています。
―真顔さんの解像度があるからこそ作品の至るところに生活感が滲み出ていると思うので、アシスタントさんにお願いするのは難しい部分もありますよね。
真顔:
たとえば3話に出てくるうさぎの汚部屋は自分が好きなように描いたので。やっぱりアシスタントさんに「汚い部屋描いといて」で同じものになるか…っていうとわからないな~とは思いますね。

主人公・大神が引くレベルの汚部屋。
吉川:
すんごい汚い部屋でしたからね。
真顔:
そういえば汚部屋は吉川さんの要望で盛り込んだギャップでしたよね(笑)。実際ちゃんとハマったので、すごくよかったなあと思ってます。
吉川:
汚部屋要素は絶対に入れてほしいものの一つだったんですよ。会社でバリキャリなのに家はとんでもない汚部屋って、それだけでも萌えるなと思いまして。
―缶ビールの上でたばこでキャンプファイヤーするの、ちょっとわかるなと思いましたよ。
真顔:
描いておいてなんですけど、あれを受け入れてくれる読者さんがいてくれて幸せですね(笑)。
―ということは、読者からの反響はかなり届いていらっしゃるんですか?
吉川:
チャンピオンクロス経由のファンレターでも、SNSでも、たくさんの反応をいただいてます。こんなにも同好の士がいるんだなと思わせられますよね。
真顔:
デカ女ブームと謳われているだけあって、SNS上でデカ女が好きな人たちがファンコミュニティの中で拡散してくれるんですよね。それによって広がっていくのを感じます。
実は読者の半分くらいは海外の方で、日本の外からも反響をいただいています。
吉川:
北南米の読者の方が多いですね。
アメコミの影響もあって、筋肉がついた格好いい女性って憧れの女性像の一つとして存在しているみたいで。海外のインフルエンサーみたいな方が「お前ら!めっちゃいい筋肉女子見つけたぞ!」みたいな感じで拡散してくれて、結構な広がりを見せています。
―国内外でアツいブームが起きているんですね。では最後に、『デカいうさぎに懐かれた!?』のおすすめポイントを教えてください!
真顔:
やはりこの作品の一番の目玉はありったけのフェチを詰め込んだデカ女ヒロインと言わざるを得ないでしょう!
しかし真の魅力は、ひたすらフェチを追い続けるだけに留まらず、年上のお姉さんに好き勝手振り回されることを軸として、みんなの「こんな展開あったらいいな」を乗せたトキメキあり・笑いあり・スケベありな超王道ラブコメである点です。
デカ女好きの皆さんはもちろん必見、そうでない方にとっても存分に楽しめる作品となっていますのでこの機会に是非お手に取っていただけると嬉しいです!!!
吉川:
ラブコメ作品を読む時の醍醐味って、「こんなことがあったらいいな」という夢を叶えてくれることだと思います。オタクに優しいギャルしかり、学校一の美少女からの謎の溺愛しかり…。
この作品も同様で、デッカいお姉さんから振り回されたり可愛がられたり逆にお世話させられたり…という“たまらん”シチュエーションがいっぱい散りばめられております。一方で、そんな男女が面白おかしく仲良くなっていく様をニヤニヤしながら横から眺めることができるということも、やはりラブコメ作品ならではの楽しみ方だと思います。この作品はそのあたりも抜かりありません。
ありったけのフェチを詰め込みながら、ラブコメの美味しさを完備した『デカいうさぎに懐かれた!?』、大神君とうさぎさんを生温かく見守りながら、是非ともドキドキしてください。

デッカいお姉さんに振り回される予感にワクワクする1コマ。
―お二人とも、連載中のお忙しいなか、ありがとうございました!
真顔:
ありがとうございました!
吉川:
ありがとうございました。
『デカいうさぎに懐かれた!?』は、チャンピオンクロスにて好評連載中!
単行本 第1巻は5月20日(水)より順次発売。

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