あらすじ
映画業界の隅っこで、大きな夢を見続ける――。
この物語の主人公はパッキンの太郎。パッキンとはドリー撮影の際にレールの下に敷かれる木片のこと。映画の世界を支える、小さな小さな歯車にすぎない太郎だが、壮大な夢を抱えている。映画監督になりたいのだ。
ある日、光り輝くパッキン・ピカ吉が現れ、太郎の夢は一歩前進することになる。
北林佑基監督より
私は日本の映画現場で、制作部として働いていた時期があります。
弁当の発注やゴミの分別といった、一見すると地味な仕事を重ねていきました。
そんな現場で、私は次第に、カメラのドリーレールの下に敷かれる小さな板――「パッキン」という存在が気になるようになりました。
目立つことはなく、誰からも注目されない。それでも確かに、撮影を支えている。
その姿に、不思議と励まされていきました。私はこのパッキンを「パッキン太郎」と名付けました。
もしかしたら彼も、私と同じように大きな夢を抱いているのかもしれない。自分の役割や立場に嫌気がさしているのかもしれない。そんな想像が、やがて創作の衝動へと変わっていきました。
「私」は、圧倒的に「私」でしかなく、「私」以外にはなれない。
その現実のなかで生まれる痛みや諦め、そしてその向こう側にある小さな誇りを、私は光の芸術で肯定したいと思っています。『パッキン太郎』は、そんな願いとともに生まれた、太郎と私が歩いてきた物語です。
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