【地罰上らば竜の降る】Hytacka×担当編集対談

【地罰上らば竜の降る】Hytacka×担当編集対談
Hytacka
Hytacka
ハイタカ

『地罰上らば竜の降る』作者

ゲームクリエイターズラボ第一期生。現在、YouTubeチャンネル「【ゲーム制作実況中】Hytacka」にて制作中のゲームを公開中。
YouTubeではゲーム系のほかに料理やキャンプ動画が好き。

鈴木綾一
鈴木綾一
すずき りょういち/Ryoichi Suzuki

講談社クリエイターズラボ部長

『地罰上らば竜の降る』担当編集。漫画編集者を15年経験した後、現職。
スイーツ、特にフィナンシェが好き。

GCLの条件がウマすぎて、なんか裏があるのかなって思ってました(笑)

――まずは、HytackaさんがGCL1期生に応募した経緯から伺ってもよろしいでしょうか?

Hytacka 今のゲームを作り始めたのがだいたい2年くらい前からで、その時は勤めていたゲーム会社を辞めてフリーターをやっていました。でも、ゲーム制作には心残りもあったし、ぼんやりとですが頭の中に作りたいゲームの設計図のようなものがあったので、それなら1人で作ってみようと思い立ったんです。それと並行してYouTubeの制作実況チャンネルも始めた感じですね。もともと僕、自分で実況するのと同じくらいYouTubeを観るのが好きなんですよ。

鈴木 僕もYouTube大好きです。そして今さら言いますが、実はGCLの構想段階の時から、Hytackaさんのことを知っていました。

Hytacka え、そうだったんですか!

鈴木 僕も普段から色んなジャンルの配信を見てるんですが、ある時たまたまHytackaさんの動画を見つけました。たしか、まだ登録者数が7000人くらいでしたね。

Hytacka へー! その頃だとけっこう昔ですね。

鈴木 はい。その試みにメチャクチャ共感して、「頑張ってください」って動画にコメントしたりとか。ちょうどその頃、GCLのぼんやりとした構想は持っていたので「ああ、こういう人に応募してほしいな」と思っていました。そしたら本当に応募してきてくれたのでびっくりしたのを覚えています。

Hytacka マジですか……。ありがとうございます! YouTubeにはたくさん動画がありますが、ある時、日本でゲーム実況っていうジャンルをやってる人がほとんどいないことに気付いたんです。それなら、あえてそこを押し出したら面白いんじゃないかなと思って。知り合いのゲーム実況者さんに紹介してもらったりしながら登録者が1万人を超えたタイミングで、GCL第1期生の募集をTwitterで知りました。

鈴木 GCLの第一印象ってどんな感じでしたか?

Hytacka 最初は「なんだこれ!?」って思いましたね。条件良すぎるし、なんか裏があるんじゃないかって(笑) でも、ちゃんと応募要項読んでいるうちに、絶対応募しなきゃ損だと感じて、応募フォームに記入して、そこにYouTubeのリンクを貼って、そして応募したことを動画にして…そこからすべてが始まりました。

鈴木 Hytackaさんは一次面接での印象が強烈に残っています。自分の作りたいゲームについて熱く語っていて、内に秘めた闘志がビンビンに伝わってきました。

Hytacka 面接前に、脳内でまだ見ぬ面接官に向かって熱意を伝えるべく何度もイメージトレーニングをしていましたからね。

鈴木 すご(笑) 用意周到ですね!

頭の中でディベートすることで、自分の思考を整理しています

Hytacka 実は僕、頭の中で議論することは子供の頃からやってるんです。誰かともめたときも、相手をどうやったら論破できたのか、頭の中で何度もディベートしながら家に帰ったりとか(笑)

鈴木 負けず嫌いだったんですね。

Hytacka はい。今でも寝る前に架空の誰かに向かって喋ってますね。今やっているYouTube動画に対しても、視聴者からのいろんな質問や批判をあらかじめ想定して、納得させるためにシミュレーションしたりとか……。

鈴木 すごいですね。でもたしかに、Hytackaさんの動画って演説っぽいかも。自分の抽象的な考えをきちんと系統立てて言葉に落とし込んで整理できている印象です。

Hytacka ああ、それは意識しています。言語化することで、このゲームを作るために辿ってきた思考がよりクリアになる気がするんです。

鈴木 台本は書いているんですか?

Hytacka 書いてないですね。先にしゃべりたい内容の音声だけを録音するんです。そのあと喋った内容に合わせて動画を編集します。音声先行型ですね。動画ではテンポよくスラスラしゃべっているようですが、実は録音中には言葉を脳内で整理するために、無音の時間が20秒くらいあったりします。その部分を全部カットしてテンポよく論理が展開できているようにしてます。

鈴木 なるほど、かなり工夫されてるんですね。

Hytacka 最初は映像と音声を一緒に撮影していたんですが、いわゆる生配信みたいな撮り方をすると言葉に詰まっちゃって、その詰まった部分は映像ごとカットしなきゃいけなくなるんです。そうすると入れたい映像が入れられなくなってしまう。だから音声収録を先にします。だいたい10分動画だと30分くらい録音していますね。

鈴木 色々な試行錯誤を経て、今の収録スタイルになった、と。

Hytacka そうですね。結局、一番自分がしっくりくるやり方になった感じです。

鈴木 自分が勝てるやり方、あっているやり方を自分で見つけられたのがすごい。 ところでHytackaさんは、自分が好きなジャンルの要素を取り入れつつ、深いところでオリジナリティを出し ていくということを意識して制作していますよね。一番のこだわりは戦闘アクション部分。

Hytacka そうですね。僕自身、プレイヤーとしても、戦闘パートが一番好きなんですよ。敵と戦っている時って、集中しなきゃいけないし、手元が忙しくなるからか、ときどき本当にゲームの中に入り込んでいるような感覚になるんです。僕はそれを「リンク感」と呼んでいるんですが、このリンク感が強ければ強いほど最高に気持ちいい。自作では、その時の気持ちよさを極限まで高めたいと思っています。

鈴木 その感覚、動画を観てるだけで伝わってきます。やっぱり作者のやりたいことがこちらにも伝わるのってワクワクしますよね。

Hytacka そうですね。リンク感を追求した先に、ユーザーに伝えられる何かがあると思ってます。その決意を動画を通じて繰り返し伝えていくことで、ユーザーさんにも期待してもらいたいし、自分にもプレッシャーをかけていきたいです。

人生の中で一番勉強した2年間

――ちなみに、学生時代はどのようなことをされてたんですか?

Hytacka 四年制の大学には進学していたんですが、勉強せずに遊んでばかりでした。でも2回目の留年が決まった時に、さすがにやばいなと思って……。一念発起して大学を中退し、梅田にあるゲーム専門学校に入学したんです。

鈴木 そこがターニングポイントだったんですね。ということは、今ゲームを作るのに使っているUnreal Engine(※1)はその時に学んだんですか?

(※1)Unreal Engine…アメリカのEpic Games社が開発したソフトウェアで、 「Unity」と並んで業界のスタンダードとなっているゲームエンジンのこと。 ゲーム開発はもちろん、建物や自動車などの設計にも使用されている。

Hytacka そうです。入学してからはスイッチが入って、死ぬほど勉強しました。朝から晩まで友達とゲームを作って、放課後はわからないところを聞きに職員室に行きまくったりとかしていて、人生の中で一番頑張ってました。

鈴木 青春じゃないですか……! ちなみに、どんなゲームを作っていたんですか?

Hytacka 『Dark Souls』に影響を受けた戦闘特化型のゲームをつくっていました。ある意味、今作っているゲームの礎になっているかもしれません。

大学教授による特別講義体験

――担当編集の鈴木とゲーム制作に関する打ち合わせなどを進めていく中で、印象的だった出来事はありますか?

Hytacka そうですね……。やっぱり、大学教授の方とお話する機会を作ってもらって、 シナリオを手伝ってくれている僕の友人と3人で授業を受けたことでしょうか。

鈴木 あの時はメチャクチャ楽しかったですね。

Hytacka 世界観のテーマになっている「大地信仰」についてレクチャーしてもらいました。多分1人で作っていたら、大学の先生が授業をしてくれるなんてなかったと思うので、貴重な体験をさせてもらいました。

鈴木 2、3回くらい教授とやりとりしましたけど、最初、少し怪しまれましたからね(笑)でも、事情を説明したらわざわざパワーポイントまで用意して熱心に説明してくれたので、本当にありがたかった。

Hytacka そうですね。そこで聞いた話を基に、鈴木さんとミーティングを何度も重ねて、世界観やストーリーを一から形作っていきました。教授の話が刺激的すぎて、その後アイデアが湧き出てきたんですよ。そのきっかけをくれて、本当に感謝です。

迷っているなら、とりあえず応募するべし

鈴木 面接の時もお話したんですが、Hytackaさんはやりたくないこと、やりたいこと、できること、できないことを、理想と共にはっきり言ってくれたことを正直に伝えていただいたのが決め手になりました。編集は、クリエイターが苦手なことをフォローする立場でもあるので。

Hytacka 正直…多分、僕の性格なんでしょうね。

鈴木 そういう人大好きなんですよ。全面的に応援したくなる。

Hytacka 僕も担当が鈴木さんで良かったです。講談社GCLに支援してもらうことの「旨み」って、ストーリーについて相談できたり、編集者さんの協力を得られたりするところだと思います。その一番美味しい部分をいただいている感じですかね。お金と一緒に。

――漫画編集として培った15年の経歴が、まさに熟成した秘伝のタレのようにつまっているんですね。

鈴木 秘伝のタレにまでなれているかどうかわかりませんが、できることは全力でしています。またまだ「旨み」はたくさんありますよ! これから社内の力を借りまくって、プロモーションなどでもどんどんサポートしていきますからね。

Hytacka はい、これからも期待しています!

――それでは最後に、GCL第2期募集に応募しようか迷っている人達に、何かメッセージをお願いします。

Hytacka いや、迷っている人なんているんですか(笑) 応募するのもすごく簡単だし、選ばれた後も自由すぎてビビってるくらいなんで、 迷うくらいなら応募した方がいいですよって伝えたいです。

鈴木 Hytackaさん節が炸裂しましたね。

Hytacka いや、本当にメリットしかないと思ってます!

――本日はありがとうございました。