※この記事は、2021年7月16日に公開したものを再掲載しています。
マッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」から連載に繋がった作者と作品を紹介する「それはDAYS NEOから始まった」、第2回!
作品のどこに惹かれてオファーを送ったのか?担当したい!と思う作品とは?など、担当編集者に語ってもらいます!
今回は7月20日に第1巻が発売されるモーニングにて『JKさんちのサルトルさん』(原作:大間九郎さん)を連載中のさのさくら さんのDAYS NEO投稿作品『メンヘラ幽霊うゆゆちゃん(ネーム)』を紹介!
担当希望を申し込んだ編集者はモーニングのムラマツさんです。

『JKさんちのサルトルさん』『食糧人類Re:』
『上京生活録イチジョウ』
『ワンオペJOKER』『中間管理録トネガワ』
『一日外出録ハンチョウ』
『僕の奥さんはちょっと怖い』『電人N』
『アポカリプスの砦』
など
さのさくらさんの投稿を初めて読んだときの印象
ムラマツ:
絵がおしゃれで可愛く、キャラクターの台詞回しや仕草などがリアルだと思いました。境遇や考えなど何も説明していないのに生き様がなんとなく伝わってきて、キャラクターにそれぞれ「世の中に対する向き合い方」が感じられました。あと男のキャラクターに色気があって僕の好みでしたw
一方で主人公の女の子だけ人間性が見えてこず、2話更新時にそこだけ厳しめの意見を追加で書き込みました。そうしたらすぐに担当希望を受けてくれたので、向上心とガッツのある方なのかな、と思いました。お会いしたら実際にそうで、メキメキと上達されて早々に連載に行き着くことができました。

投稿作品のどこに注目している?
ムラマツ:
作品を通して作家を理解しようと努めているのですが、特に「何に執着している人なのか?」「何を描いていないか?」という2点を見ています。執着は「普通の人はこんなに描き込まないよな」とか「普通はここもっとサラッと描くよな」とか「前作も同じモチーフで描いてたな」とか、そういうところです。いわば、作家さんがついつい(過剰に)描いてしまうこと。そこは才能であり武器なので、そこを中心に伸ばしたり企画を考えたりすることができます。
次に「何を描いていないか?」についてですが、例えば大事な表情を後ろ姿でごまかしたりする場合があります。こういう無意識に描くことを避けているケースでは指摘して改善してもらったりします。一方で「性的シーンは描かない」というような「あえて描いていない」というケースもあるので、その場合はそういう個性なんだと理解しています。
マッチングから連載立ち上げまでの経緯
ムラマツ:
まずは「連載獲得するには少し時間がかかるだろう」という前提をさのさんと共有しつつ、オリジナルの連載企画のネームをやってもらっていました。
そんな折、原作者の大間さんから「サルトルさん」の原作を上げていただき、作画を担当してくれる方を探していました。「女子高生たちの悩みと哲学」というテーマをコメディとして描くという難しい内容だったので、作画はどんな方がよいのか苦慮したのですが、さのさんの洒脱で可愛い絵柄、作品が題材としているサブカルチャー界隈についての理解、高い言語化能力があれば、この難しいテーマを形にしてくれるのでは? と思い打診したところ快諾していただけました。
作品の雰囲気を掴むまでネームの修正もかなり多かったと思いますが、粘り強く向き合ってもらって、連載を獲得することができました。
原作と漫画担当の作家さんのマッチングについて編集者が考えていること
ムラマツ:
原作を読んでコミカライズの必要条件をいくつか定義します。「動きが描ける」「女の子が可愛い」「コメディが描ける」などなど。
その上で「この原作をこの方が描いたらこうなるだろうな」と出来上がりの想像がつく作家さんより、ちょっと想像できない部分のある意外性ある作家さんだとベストと考えています。あとは当然ですが、作家さんが原作を面白いと感じているか、乗って描いていただけるかが一番大事と思います。
モーニング連載中『JKさんちのサルトルさん』について

モーニングで連載中!!
『JKさんちのサルトルさん』
漫画:さの さくら 原作:大間 九郎
ストーリー
川崎在住の女子高生・巫マリオさんが拾ったしゃべるパグ犬…その正体は「実存主義」を代表する哲学者・サルトルさんだった!?
進路に、恋に、親の仕事に…悩みが尽きないお年頃のマリオさんとその周囲の人々を、この出会いが、実存主義が、変えていく…のか!?
ごきげんに生きたいすべての人に贈る、哲学コメディ!



担当編集が語る『JKさんちのサルトルさん』の魅力
ムラマツ:
出てくるキャラがみんな可愛いくて愛おしくて、みんなハッピーになってほしいな〜と思って読んでます。そしてサルトルさんの語る自由の哲学は、何かと縛られることの多い我々に優しく沁みるなぁ…と感じています。
サルトルさんは作中でチュッパチャップスをよく舐めてますが、可愛くて、ポップで、優しくて、何度読んでも味わいが尽きないチュッパチャップスみたいな漫画だな〜と思います。ぜひぜひご一読ください〜!
作者紹介
さのさくら(@sacla07_)
漫画家。2021年『世界が終わったあとの漫画家と編集者』を発行。「モーニング」では『JKさんちのサルトルさん』が初連載作品。
マンガ投稿サイト「DAYS NEO」は作家と様々な雑誌の編集者との出会いを応援します!
コンテスト企画も随時行っていますので是非ご確認ください!!