それはDAYS NEOから始まった #24 『イルビゾーラの逃避行』YUKI先生×担当編集者インタビュー

それはDAYS NEOから始まった #24 『イルビゾーラの逃避行』YUKI先生×担当編集者インタビュー

マッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」から連載に繋がった作者と作品を紹介する「それはDAYS NEOから始まった」、第24回!

今回は2023年6月にヤングマガジン編集部 北端(以下、北端)とマッチングし、2025年7月27日よりヤンマガwebにて『イルビゾーラの逃避行』の連載を開始したYUKIさん(以下、YUKI)にインタビュー。

勇者との戦いから逃げる魔王という、斬新な設定の本作。独特なアイディアやこれまで掲載された作品のテーマの推移など、連載獲得へ向けた葛藤が垣間見えるリアルなインタビューをぜひご一読ください!

『イルビゾーラの逃避行』
6代目魔王、イルビゾーラはただ静かに勇者との最終決戦を待っていた。はずだった‥‥‥が!
魔王は怖くなって逃げちゃった!臆病な魔王と最強勇者の命を懸けた鬼ごっこが今はじまる!!
YUKI
2023年6月 DAYS NEOに『ホムンクルスとアルジャーノン』を投稿。
2023年10月 『ノスフェラトゥ住田さん』でヤングマガジン月間賞 第519回 ハロルド賞・TOP賞を受賞。
2023年12月『太陽が眩しくて』でちばてつや賞ヤング部門 第89回 佳作を受賞。
2025年7月27日より『イルビゾーラの逃避行』(ヤンマガweb)の連載を開始。
ヤンマガのキタバタ
歴代担当作品は『みょーちゃん先生はかく語りき』『税金で買った本』
『惨殺天使ピコマル!』『電影の龍』など。
2023年6月 DAYS NEOにてYUKIさんとマッチング。


本インタビューは作品のネタバレを多く含みます。
ぜひ『イルビゾーラの逃避行』第1話を読了後にご覧ください!

掴めるチャンスは全て掴もうと思っていた


DAYS NEOに投稿したきっかけを教えてください。

YUKI:
マンガの投稿先を調べる過程でDAYS NEOのことを知りました。

マンガ投稿サイトは他にも色々あると思うのですが、その中でも結構盛り上がっている印象でしたね。担当編集者についてもらえるチャンスがある、というのは魅力的でした。

ありがとうございます。YUKIさんがDAYS NEOに投稿したのは3月でしたが、北端さんとマッチングされたのは6月なんですね。

北端:
当時、僕は新入社員で、6月にヤングマガジン編集部に配属されました。DAYS NEOのアカウントをもらってすぐに『ホムンクルスとアルジャーノン』を見つけたんです。率直に、絵柄・色味がめちゃくちゃいい!と思ってメッセージを送りました。

DAYS NEO投稿作 『ホムンクルスとアルジャーノン』より。
「記憶の移植」という難しい場面をカラー表現で印象的に描いている。

YUKI:
「来たチャンスは全部掴んでやろう」と思っていたので、DAYS NEO以外のマンガ投稿サイトにも片っ端から作品をアップしていました。「とりあえずバラ撒け~!」という感じで(笑)。

北端さんからメッセージをもらったときはワクワクしましたね。「よっしゃチャンスだ!」と思って、担当希望は迷わず即承認しました。

マッチングしたあと、どのようにマンガづくりを進めていったんですか?

北端:
当時、YUKIさんはまだ受賞歴がなかったので、まずはヤンマガ月間賞を目指していくことにしました。

7月半ばに『ノスフェラトゥ住田さん』のネームがあがってきたんですが、これがめちゃくちゃ面白かった。ほとんど修正なしでヤンマガ月間賞に提出して、そのままハロルド賞&TOP賞の受賞に至りました。

『ノスフェラトゥ住田さん』より。
不老不死の主人公が採用面接で暴走してしまうシーン。

6月にマッチングして、10月にヤンマガ月間賞でハロルド賞&TOP賞を受賞…かなりハイスピードですね。『ノスフェラトゥ住田さん』は、北端さんとマッチングする前から構想されていた作品だったんでしょうか。

YUKI:
マッチングしてから考えたので、完全新規の作品です。北端さんに「ヤンマガ月間賞というコンペがあるので、とりあえずやってみましょう」と言われて描き始めました。

北端:
すごいですよね。トントン拍子にヤンマガ月間賞でよい賞を獲れたので、次はちば賞を狙いましょう!という提案をしました。

ちば賞を受賞した『太陽が眩しくて』の制作もスムーズだったんですか?

北端:
最初にあげていただいたネームだけはボツにさせてもらったんですが、そのあとすぐに『太陽が眩しくて』のネームを送ってきてくださったんです。すごく面白かったので、この作品もほとんど修正なしで進み、佳作を受賞されました。

…ちば賞もトントン拍子に進んでますね、制作はスムーズでした(笑)。

YUKI:
あの頃はとにかく紹介してもらったコンペに挑戦していました。経験と実績を積むために、とりあえず手と頭を動かしていた時期だったと思います。

北端:
打合せを重ねるなかで、YUKIさんはアイディアが豊富な方だと感じていました。YUKIさんの話に「それ面白いっすね!」と言っている間に、どんどん作品ができあがっていって…。もちろん自分なりの意見を言わせてはもらいましたが、僕は何もしていないです。ヤンマガ月間賞・ちば賞のスピード受賞はYUKIさんの実力ですね。

ただ、それから連載が決まるまでは少し時間がかかりました。

ちば賞を獲ったあと、何度も連載会議にネームを提出していたんですが…。これまで順調だった流れとは打って変わって、ネームが通るまで1年ちょっとかかりました。

『ノスフェラトゥ住田さん』と『太陽が眩しくて』はかなり哲学的なテーマの作品だったと思うのですが、その次の「1話目ネームコンペ」に出していた『バトルフロントオンライン』では作風がガラっと変わりましたよね。

YUKI:
そうですね、連載獲得に向けて四苦八苦していた時期の作品です。

元々SFが好きなので哲学っぽいものをマンガに盛り込んでいたのですが、話が複雑になりがちなんですよね。連載を目指すにあたり、哲学っぽさは薄めてエンタメに寄せたほうがいいんじゃないかと考えて、作風を変えてみました。元々バトルシーンを描くこともすごく好きなので、バトルアクションを描きたくて、それをテーマにしてみました。

『バトルフロントオンライン』より。
躍動感のあるバトルシーン。

『バトルフロントオンライン』でも『イルビゾーラの逃避行』でも格好いいバトルシーンが多いので、お話を聞いて納得しました。ただ、今までの作風を変えるというのは、かなり難しいことなのではないでしょうか?

北端:
実は、『バトルフロントオンライン』の制作過程ではYUKIさんと僕の意見が対立することがありました。

YUKIさんの作品を初めて読んだとき、僕はYUKIさんの描く死生観に面白さを感じていました。アクションをメインにした作品だと、「哲学的なテーマを作品に盛り込む能力」があるYUKIさんの魅力が薄れてしまうと思ったんです。

個性を活かして描いてほしい担当編集者の僕と、もっとエンタメに寄せたいというYUKIさんの意見が2か月くらいぶつかり合っていました。

YUKI:
「エンタメに寄せたいマンガ家 VS 自分らしさを大事にしてほしい担当編集者」のバトルでしたね。

北端:
はい。最終的には、こんなに「描きたい」と思ってもらっているものは描いてもらった方がいいいな…と考え直して、引き下がりました(笑)。

エンタメに寄せる作風に修正するために葛藤したことはありましたか?

YUKI:
明確に言葉にするのは難しいのですが、当たって砕けたことでわかったことはたくさんありました。手を動かして、軌道修正して、またぶつかって…。そういうトライアンドエラーの期間が一番苦しかったかもしれないですね。

いまweb上で読めるYUKIさんの作品はどれも違った面白さがありますが、背景にはそういった試行錯誤があったのですね。

YUKI:
元々いろんなことがやりたい人間だから、というのもあると思います。

『ノスフェラトゥ住田さん』はギャグ要素を強めて描いてみたり、その次の『太陽が眩しくて』は恋愛要素を強くしてシリアスにしてみたり、その次の『バトルフロントオンライン』はアクションと絵を頑張ろうかなとテイストを変えてみたり。

『太陽が眩しくて』より。
彼女の涙の理由は、ぜひ作品を読んで確認していただきたい。

― いち読者としては、全く違うジャンルの作品を読ませていただけるので楽しいです。

YUKI:
ありがとうございます。

「マンガ家と担当編集者」の関係を続けていくかの分岐点

『バトルフロントオンライン』を「1話目ネームコンペ」に出してみて、読者からの反応や評価はいかがでしたか?

YUKI:
まあ、当たって砕けたなあという感じでしたね。

北端:
先ほども言った通り、ぶつかり合いながらできあがった作品なので、「あそこまでやったんだからしょうがないよな」とお互い思っている感じでしたよね。

1話目ネームコンペはXでのポストについたいいね数によって連載が決定するのですが、『バトルフロントオンライン』はいいねが恐ろしく少なくて。ふたりで笑い合っていました(笑)。

YUKI:
そうでしたね(笑)。

北端:
そのあとすぐ、次の作品制作に向けて試行錯誤していきました。

個人的には次回作がダメだったら、僕が担当から外れるか、YUKIさんが別の編集部や出版社へ行ってしまうのだろうなと思いながらご一緒していました。

なので、『イルビゾーラの逃避行』ではこれまで以上にすっきりと、フラットな打合せができていた感覚があります。

YUKI:
そうですね、僕からビジネスライクな話をさせてもらって…ちょっとプレッシャーをかけてみました(笑)。

あとは『バトルフロントオンライン』を描いてみて、もっと絵を頑張らないといけないなと思ったんです。元々カラー漫画を描きたかったので「フルカラーマンガを描くためにはどういう題材が適しているだろう?」というところに立ち返っていきました。

北端:
相談していく中で「ファンタジー」がいいんじゃないかという話が出て。異世界っぽい世界観のものを描いてみましょう!となり、『イルビゾーラの逃避行』が生まれました。

『ホムンクルスとアルジャーノン』(DAYS NEO投稿作)もフルカラーでしたね。

北端:
実は『イルビゾーラの逃避行』の前に出していただいたネームもファンタジーでフルカラー映えしそうな作品でした。ドラゴンが出てくる話です。

YUKI:
あれは…なんでボツになったんでしたっけ(笑)。当時ボツを言い渡されたときは「えぇ!?まじか~…」って感じでしたけど、結果として『イルビゾーラの逃避行』が生まれたので、今はこうなってよかったと思えてます。

北端:
「申し訳ないですがボツで…」という話をしたときに、いつもだったら噛みついてくるYUKIさんがすんなり引き下がったんです(笑)。で、その次の週には『イルビゾーラの逃避行』の1話目のネームをあげてくださった。

なので、勝手に「YUKIさん的にもしっくりきていない部分があったのかな」と思ってました。

YUKI:
そうでしたっけ?でも、確かにそうかもしれない。
そのときいい意味で興奮していなかったというか、落ち着いていたのかもしれないですね。

さらっと仰ってましたけど、1つのネームがボツになった1週間後に『イルビゾーラの逃避行』のネームができていたんですか…?

YUKI:
そうですね。僕は「アイディアガチャ」って呼んでいるんですけど、マンガをつくるときはいつも頭の中でそれを回しています。ガチャだから、いつどんな時に金のカプセルが出てくるかわからない。

その金のカプセルを運よく引き寄せることができたな、というのが『イルビゾーラの逃避行』です。なのであまり時間をかけずに新しいネームをつくることができました。

『イルビゾーラの逃避行』第1話より。
主人公は「勇者との決戦から逃れようとする」前代未聞の魔王。

アイディアをたくさん出される方、というお話が冒頭にもありましたが、それを形にするスピードも速いですよね。

北端:
めちゃくちゃ速いですね。

ちなみに「アイディアガチャがうまくいきました」ってよく言われるんですけど、未だに意味がよくわかっていないです(笑)。

YUKI:
そうだったんですね(笑)。

ぶつかり合いながら進めた作品づくり

『イルビゾーラの逃避行』の連載はどのようにして決まったんですか?

北端:
ヤンマガで連載を開始するには、基本的に月1回のネーム会議を通す形になります。3話分のネームを描いてもらい、会議で編集者からのマル(連載に賛成)を集めた作品が連載になっていきます。

『イルビゾーラの逃避行』は2024年11月のネーム会議に3話分のネームを提出し、そこで連載が決まりました。

ネーム会議に出す3話をつくるまでは、YUKIさんのリクエストもあって、もう1人、女性の編集者に打ち合わせに同席してもらっていました。

YUKI:
連載会議を通過するためにやり方を変えていった過程で「もう1人担当をつけることもできる」と伺ったので、やってみようかなと。フィードバックも多い方がいいかなと思いまして。

女性編集者をご希望されたのにはどんな理由があったんですか?

YUKI:
女性目線でのフィードバックが欲しかったのが大きな理由です。あとは北端さんは男性なので、違う性別の担当編集者さんとのコミュニケーションを試してみたいというのもありましたね。

北端:
3話のネームをつくるまでの間に僕たちは一層ぶつかり合っていたので、それを中和してくれていました(笑)。

「それはDAYS NEOから始まった」のインタビューではマンガ家さんと担当編集者の色々な関わりかたをお聞きするのですが、おふたりほどガッツリぶつかり合える関係は珍しい気がします。

YUKI:
えー、でも僕以上の人もいるんじゃないんですか?

北端:
いや~…YUKIさんはトップクラスだと思います(笑)。

YUKI:
そうなんですね(笑)。

僕の目線だと他のマンガ家さんがどういう風に担当編集者さんと関わり合っているかがわからないので、今の話を聞いて新鮮な気持ちです。

北端:
僕が『イルビゾーラの逃避行』5話のネームを2か月くらいOKしなかったときは…すごかったですね(笑)。

ぶつかり合っても、結果としてよい作品になるなら問題ないですもんね。でも連載が決まっている作品で2か月間OKが出ないのは確かに「ぶつかり」の予感がします。

北端:
本当に、あの時は申し訳ないことをしたなと思います。

あとは、主人公である魔王・イルビゾーラのライバル役となる勇者の性格で、YUKIさんと僕で意見が真逆だったんですよ。そこでもぶつかりました(笑)。

YUKI:
そうでしたね(笑)。

北端:
僕は勇者パーティの勇者を「悪者」として描いたほうが効果的なのではないかと思っていたんです。罪のない子供の首を平気で刎ねることができる、イカれた奴みたいな。

一方、YUKIさんはそういうイメージではなかった。2人の中で敵キャラの解釈が根本的に異なっていたので、もう1人の担当編集者にも入ってもらって検討していきました。

YUKI:
解釈自体というよりは「キャラをどう見せていくか」という点で意見が違っていたのかなと思います。最初からガッと悪者っぽく見せたほうがいいのか、徐々に化けの皮が剥がれていく見せかたのほうがいいのか。

北端:
第1話で勇者が返り血を浴びて真っ赤になっているシーンがあるんですが、ここは特に「YUKIさんの案にしてよかった」と思う場面になっています。

『イルビゾーラの逃避行』第1話より。
善悪だけでは語れない、勇者の一面が垣間見えるシーン。

YUKI:
長い目で見たら勇者は残忍なキャラクターになっていくと思うのですが、最初はいかにも「勇者」っぽいほうがいいなと思って。非情な一面はゆっくりと見せていきたいので、こういう描き方をしています。

ネーム会議に提出したときの評価・反応はいかがでしたか?

北端:
ヤンマガwebのチーフがすごく評価をしてくれて、「ぜひやってみよう」と言ってもらえたんです。実はマルの数自体はそこまで多くなかったので、連載会議の評価としては割れていたんですよね。

YUKI:
過去最高にマルとバツの数が競っていたと聞きました。

「名作が生まれるときの連載会議は割れる」という噂を聞いたことがあります。ワクワクしますね。

YUKI:
そうですね、そういった作品になっていければ嬉しいです。

作品を面白くするために重ねる試行錯誤

連載会議を通過した2024年11月から連載開始までの間、どのように準備を進めていったんですか?

北端:
新連載は連載確定から3~6か月の準備期間を経て連載スタートすることが多いです。

『イルビゾーラの逃避行』は準備期間が比較的長めなのですが、フルカラーなので原稿とネームを描き貯めてもらっていました。あと先ほど話した通り、僕が5話のネームを2か月止めていたので…(笑)。僕のせいで少し想定より後ろ倒しになっています。

連載開始(7/27)時点ではネームと原稿がそれぞれどのくらい用意できている予定になるのでしょうか。

北端:
ネームが9話、完成原稿が6話あがる予定ですね。

5話以外に苦労した回はありましたか?

北端:
(笑)。
苦労したのは4・5・6話ですかね。

YUKI:
そうですね。7話以降は割とすんなり通ったので、少し拍子抜けしたというのが正直な感想です。

北端:
4・5・6話はYUKIさんの「やりたいこと」が先行したネームになっていたような気がしていて。演出や展開で「読者に伝わること」が二の次になってしまっている印象だったので、そこの修正をお願いしていました。でもそれはYUKIさんのやりたいことの否定になってしまうので、結構ぶつかり合ったのかなと思っています。

逆に7話以降は読みやすさと面白さ、そしてYUKIさんのよさがネームにしっかり出ていたので、調整をお願いする要素がなかったんですよね。

YUKIさんは初めての連載だと伺ったのですが、読切作品との違いはどんなところに感じますか?

YUKI:
アイディアを準備する量が違うし、どういうペース配分で見せていけばいいのかということを常に考えなければいけないので…。その力加減が一番難しいかもしれないです。

先ほどのアイディアガチャの話にも繋がりますね。

YUKI:
そうですね。金のカプセルはそもそもいつ出てくるんだ?というのもあるし、それをどのタイミングで使うんだ?というのもある。もちろんハズレのカプセルも出てきますしね。

北端:
アイディアガチャと関連しているか分からないのですが…。

YUKIさんはたまにしっかりとしたプロットを書いてくださるときがあるんですが、それは考えが整理しきれていない時なんじゃないかな、と。もちろんプロット自体は面白いんですけど、YUKIさんの頭の中でまとまっていないことを言語化するためにプロットが生まれているんじゃないかなって思っています。

どちらかというと、思いついたものを勢いよく仕上げた作品のほうが、YUKIさんらしさが出るというか。

YUKI:
そうですね。マンガ家には感覚で描く人と理屈で描く人がいると思うんですけど、僕は完全に感覚で描くタイプだと思っています。

物語の構成を文字でずらっと書くより、その場でキャラクターを動かしてみて描くほうが面白い会話劇も描けるし、いい絵も描ける。結果として面白い物語になっていることが多いです。

話の展開もそうですが、『イルビゾーラの逃避行』はフルカラーの作品なので、作画コストがすごく高いのではないかと思うのですが…。

YUKI
思ったより高くないな、という感想です。アシスタント経験があるので白黒マンガも描いたことがあるんですが、比較してもそこまで気にならないですね。

体感で1.2倍くらい大変にはなるんですが、表現の幅が格段に広がるんです。なのでトータルではプラスに感じています。

『イルビゾーラの逃避行』第2話より。
人間の少女に憑依する魔王・イルビゾーラを、カラーならではの迫力で描く。

北端:
先ほどお話しした「返り血を浴びた勇者」も、フルカラーだからこそできる表現になったシーンだと思っています。

担当編集者として、モノクロ・カラーマンガでそれぞれ着目する場所は違いますか?

北端:
カラーマンガの場合、背景の色などは気をつけて見ていますね。YUKIさんが意図して変わったカラーリングをしている場面も多いので、そのあたりも楽しみに見ていただけたらと思っています。

YUKI:
そうですね。色は人によって見え方や抱く印象が違うものなので、そのあたりはすごく難しいなと思いつつ、楽しみながら描いてます。

ちなみに3話のネームまでインタビューのためにいただいて、DAYS NEO運営チーム内で共有したのですが、面白すぎてチームのみんなが沸いてました(笑)。今後も楽しみにしています!

YUKI:
おお、嬉しいです。

北端:
ありがとうございます。

最後に『イルビゾーラの逃避行』のおすすめポイントを教えてください。

YUKI:
本作はフルカラーで描く作品です。カラーであるからこそできる表現を色々と盛り込んでみたいので、そのあたりを読者のみなさんに魅せていきたいと思っています。

ストーリーに関しても魅力的なキャラクターを登場させて、その中で生まれる葛藤だったり笑いだったり感動だったりを描いていくつもりです。こちらも同様に読者様にお届けできればと思います!

北端:
YUKIさんと同じく、他の作品とひと目で差別化できるポイントはフルカラーであることかなと思っています。

ただ、そのほかにも、殺伐とした世界観の中で描かれるキャラクター同士の掛け合いや何気ない小ボケなどの「他愛もないやりとり」もYUKIさんの強みだと思うので、そこにも注目してほしいです!

おふたりとも、お忙しい中ありがとうございました!

 

『イルビゾーラの逃避行』は、ヤンマガwebにて好評連載中!
作品への応援コメントもお待ちしております!