それはDAYS NEOから始まった #25 『兄貴!メシですよ』やじま冬美先生×担当編集者インタビュー

それはDAYS NEOから始まった #25 『兄貴!メシですよ』やじま冬美先生×担当編集者インタビュー

マッチング型マンガ投稿サイト「DAYS NEO」から連載に繋がった作者と作品を紹介する「それはDAYS NEOから始まった」、第25回!

今回は2024年7月にモーニング編集部 香山(以下、香山)とマッチングし、2025年8月よりモーニングにて『兄貴!メシですよ』の連載を開始したやじま冬美さん(以下、やじま)にインタビュー。

「生きていくためにマンガを描く」。そんな思いを抱きながら作品づくりの葛藤を抱えていたやじま先生と、DAYS NEO投稿作『たそがれに触れる』に惚れ込んだ担当編集の思い。二人の強い信頼関係を感じるエピソード盛りだくさんでお届けするインタビュー、ぜひご一読ください!

『兄貴!メシですよ』
関東に拠点を置くヤクザ「沙鳥組」。その若頭・橋矢丈一郎は最高にカッケェ兄貴だった。強くて、渋くて、義理人情に厚くて…。弟分である久留米牧葉は、兄貴にスッカリ惚れ込んでいた。そんなある日、兄貴が何者かに撃たれてしまう!目を覚ました兄貴は、記憶を失い「アホニキ」に…!?兄貴の記憶の扉を開くため、久留米(通称マッキー)のクッキングライフが始まる!喰らわせ戻せ、カッケェ兄貴。知恵袋的ご家庭グルメ!
やじま冬美
2024年7月 DAYS NEOに『たそがれに触れる』を投稿。
過去連載作『僕たちの恋にハッピーエンドなんていらない』(ハツキス)、『リカラフル』(ハツキス)。
モーニング 香山
2023年よりモーニング編集部 所属。
歴代担当作品は『青のミブロ』『女神のカフェテラス』『幼馴染とはラブコメにならない』『やがて蛸になるきみと』など。
2024年7月 DAYS NEOにてやじま冬美さんとマッチング。


本インタビューは作品のネタバレを多く含みます。
ぜひ『兄貴!メシですよ』第1話を読了後にご覧ください!

胸を張って「好き」と言えるものを見つけるまで


DAYS NEOに投稿したきっかけを教えてください。

やじま:
DAYS NEOのことは以前から知っていて「マンガを投稿するならここ!」という風になぜか頭に入っていたんです。なのでマンガが完成して、編集者の方に見てもらうための最初の選択肢として、DAYS NEOにアップしようと思っていました。

少年・少女マンガからBLマンガまで、幅広いジャンルの編集者さんに見てもらえるのは魅力的ですね。1つのサイトに作品をアップロードするだけで多くの編集者さんに届けられるのはすごくありがたいので、投稿しない手はないと思って利用しました。

持ち込みだと1日1~2件しか回れないし賞に出しても結果がわかるまで時間がかかるので、今でも一番いい選択肢だと思っています。

―ありがとうございます。やじまさんは過去にも連載経験がおありなんですよね。

やじま:
はい。女性誌で連載を持っていました。ただ、連載終了後にネームがまったく通らなくなってしまって。知り合いの編集さんを頼って少年誌でもネームを見てもらったのですが、結果は同じでした。

マンガを描くこと自体は本当に好きだったし、すべて全力で描いてきました。でも誰かに「私はこれが好きなんです!それを詰めこんだ私のマンガを読んでください!」と胸を張って言える作品を描いたことが一度もなかったんです。

“胸を張って好きと言えるもの”を見つけて作品にしなければ、このさき一生ネームも通らないしマンガ家としてどうにもならないだろうなと思っていました。

そこで「私は一体なにが好きなんだろう」という疑問に立ち返っていって…。

香山:
僕は最初から、やじまさんには好きなものを明確に言語化できている印象があったので驚きました。そんな葛藤があったんですね。

やじま:
そうですね。「自分の好きなもの」に関しては長い間ぼんやりとしていた状態でした。ボツになったネームを自分好みにリメイクしてDAYS NEOに投稿して他の編集者さんとマッチングしたりもしたのですが、結局それもうまくいかなくて。

商業連載に向けて苦しい時期だったのもあって、息抜きに二次創作のBL作品を描いてXに投稿していたんです。そんなとき、ふと、「昔からブロマンスやBL作品が好きなのになんでオリジナル作品で一度も描いていないんだろう」と思ったんですよね。

―オリジナル作品でブロマンスを描いていなかったのには何か理由があったんですか?

やじま:
特にブロマンスやBL作品って、作者が本当に好きでなければ、それが読者に伝わってしまうジャンルだと思うんです。だから中途半端な“好き”で描いてはいけない…とある種、自分の中で神聖化してしまっていて。自分の絵柄も合っていないし…と二の足を踏んでいました。

でも、今のままじゃネームも通らないし、「息抜きとして描くくらい好きなんだから、オリジナル作品も描いてみよう!」と、思い切って『たそがれに触れる』を描きました。

DAYS NEO投稿作 『たそがれに触れる』※より。
キャラクターの絶妙な関係性が伺える扉絵。
※編集者限定公開作品

このマンガを描き終わった後、やっと「これが好き」と胸を張って言える作品が描けたと思えたんです。自分の中に芯が一本通った感覚を持てました。憑き物が落ちたというか、冗談抜きで「生まれてきた価値があった」と思えるくらいの感動がありました。

ただ、面白くなるように工夫はしたものの、自分の好きなものを詰め込んで、自分のためだけに描いたマンガだったので…。担当希望はいただけないだろうな、と思っていました。

また別の作品を一から描いて投稿しようと考えていた矢先に、香山さんから担当希望をいただいたんです。

―過去の投稿作品にも複数の担当希望がついていますし、やじまさんの実力・作品の魅力は編集者に伝わっていたと思います。『たそがれに触れる』には少年誌・青年誌の編集者から担当希望がありましたが、予想通りでしたか?

やじま:
予想通りといえば予想通りでした。ただ、自分でも向いているジャンルがわからなくなっていたので、「編集部」という単位ではなく「編集者個人」という単位でマッチングを考えたいなと思っていました。

自分の好きを詰め込んだ『たそがれに触れる』に少年誌・青年誌の編集者さんから担当希望をいただけたことについては…「やっぱり、絵柄的にもストーリー的にも少女誌・女性誌ではないんだな」という気持ちにはなりましたね(笑)。

香山:
「少女誌・女性誌ではない」ではなく、「少年誌・青年誌でも可能性がある」ですよ!

やじま:
ありがとうございます。

実は、自分の絵柄と描きたい絵柄、描きたい作品…すべてがマッチしていない感覚がずっとあったんです。
なので、『たそがれに触れる』の投稿当時は「編集部」という単位では見ていなかったけど、なんとなくジャンルの幅広い青年誌に落ち着くのかもな~とは感じていましたね。

「人間」の描写力の高さがやじまさんの魅力

―『たそがれに触れる』に担当希望を送ったきっかけを教えてください。

香山:
シンプルですが、作品がとても面白かったからです。

僕はマンガ家さんにお声がけするとき、「人間に興味がある人か」を重視して見るようにしています。そこに強い興味を持つ人が描いたマンガが好きで、一緒に仕事がしたいと思うんです。逆にそこが薄いと、他の能力が高くても僕はお声がけをしなかったりします。

『たそがれに触れる』は人間を描こうとしていて、かつ描けているマンガだと思いました。

―「人間を描く」とはどういうことですか?

香山:
そうですね…。例えば登場人物の志位くん・円先輩が志位くんの家にいるシーンなんですが、コンロのところに油跳ね防止シートが立ててありますよね。志位くんの料理の所作や円先輩の自由な様子も細かく描かれています。たった1シーンから二人の関係性が読み取れるし、そこを楽しんで描いている人なんだと感じました。

『たそがれに触れる』より。
生活感・行動から二人の距離感が伺えるシーン。

やじま:
円先輩はたぶんご飯前に人の家の冷蔵庫を勝手に空けて、アイスを食べる人だろうと思って描きました。志位くんはある程度その遠慮のなさを分かっていて受け入れているだろうなと…(笑)。それを表現できれば伝わる空気感があると考えていたので、気づいてもらえて嬉しかったです。

香山:
あのワンシーンだけで、これまで二人が歩んできた文脈がぱっと想像できるということが「人間を描けている」ということだと思います。

―香山さんが「人間が描ける」ことに重きを置いている理由はなんでしょうか。

香山:
面白い作品・売れる作品に必要な要素だと思っているからです。

やじまさんは「人間」をよく見ていらっしゃるし、それを言語化する力がすごくあって…だからこそ人の営みを繊細に描くことができるんだと思います。観察眼が鋭い・言語化力が高いのは、作家としてすごく素敵な武器ですね。

やじま:
ありがとうございます、恐縮です…。

『たそがれに触れる』は「ストーリー云々よりもキャラクターを描かないとだめだ」と思って描きました。

マンガは限られたコマ数でキャラクター性を表現していかないといけないので、先ほどのシーンを私の狙い通り汲み取ってもらえたのは、本当にありがたかったし嬉しかったですね。

香山:
キャラクター優先で描かれた…ということでしたが、ストーリーにも工夫があっていいですよね。

読み切り作品という短い尺の中で、オチに読者を驚かせる展開が入っていて。読者を面白がらせよう・楽しませようという視点を入れられることは、すごく大事です。DAYS NEO上では「やじま冬美」さんというお名前は伏せられていたのですが、間違いなくキャリアのある方だろうなと思いながら担当希望を送りました。

『たそがれに触れる』より。
緊迫感のある“円先輩ではないもの”との対峙シーン。

―登場人物のキャラクターが描き込まれているからこそ、二人をより好きになって、好きになるからこそ最後の展開に引き込まれますよね。

香山:
そうなんですよね。やじまさんは「この作品に自分の“好き”を詰め込んだ」と仰ってましたけど、僕もそこに反応したのかなと思います。

担当希望を送った理由はまだあって…もう一ついいですか(笑)。

お声がけしたとき、少年誌から青年誌に異動したばかりの時期ということもあって、僕自身が「青年誌らしいマンガ」「大人っぽいマンガ」をやりたいと思っていたタイミングだったんです。『たそがれに触れる』は人間の営みを繊細に描けていて、この人であれば「青年誌らしいマンガ」が描けるのではという気持ちがありました。

当時、連載を目指していた別の文字原作企画もあったのですが、それをやじまさんが描いたら面白そうという気持ちもあって…。
オリジナル作品でも原作つきの作品でも、とにかくやじまさんと「青年誌らしいマンガ」を作りたいと思って担当希望を送りました。

―当時の熱意が伝わってきます(笑)。

強い信頼関係の秘密は「速攻・自己開示」

―やじまさんが香山さんの担当希望を承諾した理由をお聞かせください!

やじま:
私が描きたかったところをピンポイントで見てくださり、メッセージで伝えてくれたからです。『たそがれに触れる』は私が描きたくて描いたものだけの混じりっ気のない作品になったので、それに担当希望をいただけたことが純粋に嬉しかったですね。

当時の私に必要だったのは、投稿作品をブラッシュアップするよりもその先の連載に向けてのお話ができる・未来のお話ができる人だったので、原作付きという違うアプローチを提案してくれたのも大きかったです。「生きていくためにマンガを描かなきゃ」と思っていたので、ある意味その最短ルートを提示してくれたことで、現実的な話をしてくださる人なんだろうなと思いました。

香山さん→やじまさんへ担当希望した際のメッセージ。
作品への熱量と提案力を同時に感じられる。

あとは香山さんが今まで他のマンガ家さんに送ったメッセージをすべて読んで決めました(笑)。

―おお…! DAYS NEOを使いこなしてくださっていますね。ありがとうございます。

(※DAYS NEO運営事務局より)
DAYS NEOでは編集者が過去にどんなマンガ家さん・作品にどんなメッセージを送ったのか、編集者のプロフィール画面で見ることができるようになっています。

やじま:
何目線?という発言になってしまうかもしれないのですが、メッセージを読んだときに「この編集さんは経験を積んできていて、自分の中のロジックを“見つけた”方だな」と思ったんです。

マンガ家が何を描けるか、商業作品としてどうすれば面白いマンガになるか、ということを一緒に考えてくれる方だろうなとコメントを読んで感じました。

これは今、その通りだったと感じています。読者として好きなタイプのマンガがあるだろうけど、編集者としてのこれまでの知識や経験を軸に、柔軟に対応してくれるんです。

―DAYS NEO上のメッセージから読み取った香山さんの人物像の解像度がかなり高い気がします。

やじま:
ほぼすべてのメッセージを読みましたからね(笑)。でも、担当希望を受け取ったマンガ家さんは大抵やってるんじゃないですかね。

香山:
そうですよね。僕も読まれてるだろうなと思いながら、書いています(笑)。

―香山さんの「DAYS NEO利用履歴」がやじまさんへのアピールの一つになったんですね。今のようなお話は、これまでにお二人でされたことはありますか?

やじま:
早いところ自己開示したほうが前に進めるなと思ったので、初回の打ち合わせの時にお伝えしていた気がします。2時間くらい話しましたよね。

香山:
僕も速攻自己開示したいタイプです。格好つけていてもあまりうまくいかないので、今みたいな会話は初回の打ち合わせでおおかたお伝えしてますね。

メッセージに書いた通り、一つは原作付き作品の作画担当・もう一つはオリジナル作品の制作の二軸で、「さぁこれからどうしていきましょうか」というお話をしました。

やじま:
原作付き作品のお話になったとき、香山さんが「一旦2か月で区切って、並行してオリジナル作品もやっていきましょう」と言ってくれたのが嬉しかったことを覚えています。

その時から、香山さんは時間を大切にしてくださる方だなと思っています。私も「時間は有限である」という意識を強く持っているので、そこがすごくありがたいです。

―すごく素敵な初回打ち合わせですね。今までインタビューさせていただいたマンガ家さん・担当編集者の方々の中でも、初回でここまで伝え合っているお二人はもしかしたら初めてかもしれないです。

香山:
大事にしている価値観が、もしかしたら似ているのかもしれないですね。

編集長のアドバイスで大きく転換したストーリー

―マッチング後はどんな流れで制作を進めていったんですか?

香山:
マッチング後、すぐに対面の打ち合わせを設定しました。

まずは当時、連載を目指していた文字原作をネームにしてもらっていました。残念ながらその企画は連載には至らなかったのですが、その作業を通して、やじまさんはオリジナル作品でもいいものを描くだろうなという確信が深まっていった感じです。

―『たそがれに触れる』から『兄貴!メシですよ』はかなり大きい振り幅だと感じるのですが、どのようにしてアイデアが浮かんだんですか?

やじま:
打ち合わせの中で、別の雑誌に代理原稿として描いた4ページマンガをお見せした時がターニングポイントだったかなと思ってます。作品としては超くだらないものでしたけど、自己開示の一環として香山さんに見てもらったんです。

これを読んで「コメディもありかも」という空気になったことが『兄貴!メシですよ』に舵を切る大きなきっかけになったと思います。

『博士とロボット』
ロボットにちなんだ見事なオチの作品(未公開)。

香山:
本当にしょうもないし、くだらない作品で(笑)。

でも、その中でキャラクターはきちんと楽しく動いていますし、『たそがれに触れる』と同様、読者を驚かせる展開も入っていますよね。ギャグで笑いを取るというよりは「変な人と変な人が絡んでいて面白い」みたいな作品だったので、そういう方向性を探りたいと思いました。

オリジナル作品に着手するとなったときに「変人同士が絡む」シチュエーションを強制的に作り出すために、記憶喪失という案が出た記憶がありますね。

―『兄貴!メシですよ』のグルメ要素はもともと決まっていたんですか?

香山:
『たそがれに触れる』でも料理のシーンが印象的でしたし、グルメという題材は自然と選択肢としてありました。

高級なコース料理とかではなく、生活感のある料理が描ける人だと思っていたんですよね。そして『博士とロボット』の要素も合わさって、作品の原型ができた感じです。

『兄貴!メシですよ』第1話より。
久留米が兄貴のために作った最初の料理。

―久留米・母のコメントとか、それを久留米が真に受けているところとか、お話に温かみがありますよね。作品の原型ができたあとから連載決定まではどんな流れだったんですか?

香山:
「記憶喪失×グルメ」でやるということは早い段階で決まりました。そこにやじまさんの好きなブロマンスもかけ合わせたら面白そうだということになり、第1話の初稿を2024年末くらいに編集長に見てもらいました。

僕が『たそがれに触れる』を好きだったのもあって、今の『兄貴!メシですよ』よりもブロマンス的な雰囲気が強めのネームでした。

やじま:
今より女性誌っぽい感じでしたよね。

香山:
そうですね。編集長からは、「ブロマンス性が高く出すぎてしまっているがゆえに、男性読者に刺さりにくいのではないか」「面白い作品なのに読者の半分を落としてしまうのはもったいない」という意見をもらったんです。

やじまさんも僕もすごく納得しましたよね。

やじま:
はい。香山さんから編集長の意見をまとめたメールをいただいて。かなり長文だったにもかかわらず、1から10までその通りだなと思いました。

香山:
例えば、兄貴も久留米くんも細くてかわいい男の子というよりは、首を太くしてガタイをよくして…。

編集長からのアドバイスを受けて、ある種の「媚び」のようなものがある可愛いおじさんではなく、ちゃんとおじさんを描こうというスタンスに切り替えました。そこからはとんとん拍子で進みましたね。

『兄貴!メシですよ』第1話より。
久留米の男性性を感じるカット。

―作品の方向性が大きく変わるアドバイスだったと思うのですが、スッと受け入れられましたか?

やじま:
確実に面白くなると感じたし、私が描きたい絵柄に近づけそうだし、その上マンガの間口が広がるのならもちろんやる!という気持ちでした。素直に前向きに進めていけましたね。

香山:
新しくなったキャラクターを自分たちに馴染ませたいね、と話し合って、練り直した設定で2話分作って、再度編集長に見てもらいました。

やじま:
香山さんは打ち合わせ中にキャラクターのセリフやアクションを身振り手振りを交えて演じたりしながら一緒に考えてくれるんですよ。
最初からずっとそうだったので、私も照れずにキャラについて語ることができています。再構成するときもイメージが湧きやすかったです。

―そのあと編集長からゴーサインが出た、と。

香山:
はい。修正案を出したときはすぐ「いいね、これやろう!」と後押ししてくれました。

やじま:
2024年末に構成を見直したほうがいいといわれて、年末年始はずっとそのことを考えていました。年明けに香山さんに練った案を見せて、調整していきましたね。

香山:
2025年2月末に連載決定したと思うので、いいペースで連載に至れたと思います。

―アドバイスを作品に還元された柔軟性の賜物ですね。

「疲れて帰ってきても読めるマンガ」を目指していく

―最後に、『兄貴!メシですよ』への想い、こだわりを教えてください。

やじま:
自分の理想の一つに「疲れて帰ってきても読めるマンガ」というのがあります。この作品はそれを目標にして描いているマンガです。読者から見たらコメディですが、本人たちは大真面目。

コメディを描くぞ!という意気込みではなく本当に自然に描いているので、楽しんで読んでもらえれば、それが一番嬉しいです。

『兄貴!メシですよ』第2話より。
兄貴の謎のわがままに翻弄される久留米。

―怖い顔したおじさんが子どもみたいな駄々をこねているのがすごく好きです。

やじま:
彼らは一切ふざけてないんですよ。真面目にやってます。

―そこが面白いポイントですよね(笑)。
 では香山さんからもお願いします。

香山:
『兄貴!メシですよ』の魅力…。本当にたくさんあるのですが、やはりひとつはキャラクターかなと。

何者かに襲われ記憶を失いアホになった兄貴。兄貴のことを慕う主人公・久留米。兄貴の記憶の扉を開くため、料理なんてしたことがない久留米はメシを作ることになる…一見アホな設定ですが、その中でキャラたちは目の前の困難に真剣に立ち向かっていきます。それがもう面白くって。「くだらねー」って笑いながら読んでいただけたら嬉しいです。

―「疲れて帰ってきても読めるマンガ」になること間違いなしの作品ですね。
 お二人とも、お忙しい中ありがとうございました!

やじま:
こちらこそ、ありがとうございました!

香山:
ありがとうございました!

『兄貴!メシですよ』はモーニングにて好評連載中!
作品への応援コメントもお待ちしております!