私を描いて【監督・喜安浩平】

喜安浩平

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喜安浩平

マンガと実写の融合を目指す意欲作。2024年、国際映画祭に挑戦中!

原作・脚本・監督/喜安浩平

1997年、広島大学教育学部美術科卒。1998年、劇団「ナイロン100℃」のオーディションに合格、以降、現在まで劇団員として活動中。2000年より自身が作・演出を手掛けるユニット「ブルドッキングヘッドロック」を旗揚げ。20年間で30回の本公演を開催している。
2013年、『桐島、部活やめるってよ』(監督:吉田大八)で、日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。演劇、映像、アニメーションと分野を跨いで活動中。

制作: ROBOT
江戸川こより: 小林桃子
朝井桐子: 滝澤エリカ
エグゼクティブプロデューサー: 野間省伸
プロデューサー(講談社): 永盛拓也/湯田圭一
上映時間: 19分

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シネマクリエイターズラボ

あらすじ

漫画家志望の女子高生・こよりは学校関係者をモチーフとした自身の作品が他者を傷つけたと問題視され、活動の自粛を余儀なくされる。しかし一人の同級生の賛辞に突き動かされ、好奇心を抑えられなくなっていく。

やがて彼女は真実“らしきもの”に辿り着き、そこに、同級生の孤独を目撃する。

講談社シネマクリエイターズラボ・第1回優秀賞受賞作

喜安浩平監督より

作った感想と込めた思い

実のところ映画というものをよくわかっていませんでした。ですので今回の製作は私にとって全てが学びの時間でした。それは新たな学びであり、過去に通ってきた道が教え直してくれる懐かしい学びでした。これはとても個人的なことで、作品にどれほど影響しているのか私にはまだわかりません。

この企画に応募する際、〆切の三日前にそれまで作っていた脚本を捨てて新しい脚本を書きました。勢いで書いたそれはきっと私らしいものだったはずです。腕ぶん回して書きましたから。ただ、それが評価されたことにほんの少し複雑な思いもありました。それは私が知っている私でもあるからです。私は私の知らない私に出会いたい。そう願い、この企画に応募したところがあったからです。

そこで僭越ながら、選考を通過した後は、自分から少し離れて歩くことを意識しました。子どもが家を飛び出し、不慣れな道を歩いて知らない街へ辿り着くような、そんな不安と好奇心の飛び交う旅です。もちろん私はどこからどう見てもおじさんですが。それはとてもささやかな旅でしたが、確かな旅であったと思います。

例えば、今作の主人公は、応募当初のキャラクターから少し変化しました。元々書かれていた素質のうち、強調するところを変えたのです。私は彼女の中にある「獰猛さ」に期待しました。ささやかな獰猛さです。それは、私自身への期待でもあったのです。自分を丸め込んではいないかという疑問でもあります。ほんの少し離れることで、そこに向き合うことができました。主人公はこの先も擦り傷を作りながら、飼い慣らそうとする世界と、ささやかに戦い続けることでしょう。表現という刃を、なんのために使うのか。考え続けてくれるはずです。私もそうであろうと思います。

シネマクリエイターズラボについて

シネマクリエイターズラボの皆様には本当にお世話になりました。終わってないけど。実に丁寧に私の彷徨にお付き合いくださいました。感謝の思いが尽きません。焦るのも小躍りするのも私次第。創作の責任をしっかりと作者に委ねてくださいました。おかげで、心から私の作品でありシネマクリエイターズラボの作品と言えるものが生まれました。それだけド真ん中に作品があったということです。

健全な関係の構築は、繊細で、ときに運に左右されることさえあると思います。そこに十分に恵まれたことが、まさに有り難いことでした。

もう一つ。山岸汰誠さん。今作の主要キャストでもある「漫画原稿」を制作してくださった方です。彼の存在がなければ今作は成立しておりません。持ち前の独自性を献身的に注ぎ込んでくださいました。こういったクリエイター同士の出会いも、講談社のシネマクリエイターズラボという企画でなければ実現しなかったかもしれません。本当にありがとうございます。

意気込み

出品をする以上、結果を伴いたいですし、誰かに理解されることを期待しています。ただどうであれ、抱えた愛おしさに変わりはありません。この愛おしさを、誰かと分かち合えたら幸せです。

そして学び続けます。作り続けることで、みなさんと出会い続けられますように。

公開情報・映画祭情報

続報は講談社シネマクリエイターズラボ公式HPで随時更新いたします。